パパ日記

普通のコーヒーとよいコーヒー その1

11月から某大手ロースターは、生豆価格の上昇や円安が影響しレギュラーコーヒー全種類を25%値上げすると発表しました。スタバも乳製品の値上がりに対応し10月から一部値上げしています。

 

 

輸入産業の一部は急速な円安で苦境に直面しています。
飲食店の大部分は輸入食材に頼りますので、小さな店ほどダメージを受けやすくなります。知人のケーキ店、そば店などは仕入れ価格の上昇に困惑を通り越している状況です。

 

 

過度の円高は輸出産業と輸入産業の格差を助長し、消費者物価の上昇、さらには輸出産業の原材料コスト高もまねき、国内中小や零細会社及び商店に悪影響を及ぼしつつあると思います。
株価の上昇、資産価値の上昇、輸出産業や一部大企業の好業績もありますが、その反対部分の拡大は、消費の衰退という悪循環を招くとも考えられ、適切なバランス政策がとられることを期待したいものです。

 

 

2000年以降のスペシャルティコーヒーの台頭は、コーヒーを「よいコーヒー」と「普通のコーヒー」に品質の観点からその差異を明確にしてきました。

 

 

普通のコーヒーの原材料であるアラビカ生豆価格は、NYの相場(ブラジルの収穫量や投機資金などで値動きがある)である程度決まり、現在生豆価格は上昇基調にあります。
ちなみにコーヒーの危機と呼ばれた2001年は61.91セント/ポンド(年間平均)、暴騰といわれた2011年は273.21/ポンド(2011.4月は302.71/ポンドまで暴騰)で現在は200セントを超える水準です。

 

 

円は2001年平均は121円、2011年は79円、現在2014年10月現在は110円くらいで大きく変動しています。コーヒーの現在量である生豆輸入は、2011年は円高メリットがあったはずですが、生豆価格が暴騰していたためその恩恵はありませんでした。

 

コーヒーの消費は、新興国及び生産国の需要などで世界的に増加傾向にあり、それに伴い生産量も増加傾向にあります。アジア圏のコーヒーショップの拡大は目を見張るものがあります。また世界最大の生産国であるブラジルは世界2位の消費国となっています。

 

 

日本で流通するコーヒーの大部分は普通のコーヒーで、レギュラーコーヒーから缶コーヒーまで、低価格アラビカからカネフォーラ(ロブスタ)までありその品質も様々です。
また、レギュラーコーヒーは、スーパー、百貨店からネットショップまで多様な小売りマーケットがあり、さらには喫茶、レストランその他向けの卸売りマーケットまで幅広く流通しています。
コーヒーショップ、FF,FRなど多様なチェーン店、外食産業、ホテルなどで使用されています。そのため、小売り、卸売りともに販売競争によるディスカウントも多く見られます。
ビーンズショップ(自家焙煎店等)の使用量は全体の10%にも満たないと推測しますのでその多くをを大手、中小ロースターなどが取り扱います。

 

アラビカの値上がり基調の根本要因は、生産国の経済成長に伴う人で不足、人件費の上昇、肥料や農薬代の値上がり、さらにはさび病による生産減、気象変動による栽培適地の減少などが様々なことが考えられます。
これらは、今後の生産国におけるコーヒー産業の発展維持の懸念材料となりつつあり、消費国も深刻に受け止める必要があります。

 

 

資本主義経済は競争の原理で動きますので 低価格で差別化することはやむをえません。
しかし、市場原理のみでものごとを見ていると、コーヒーの生産現場に起きている上記のような重要な側面を見落とすことになります。消費マーケットから今後のコーヒー産業全体を見た場合、生産地までをグローバルに見ていく必要があるでしょう。

続く