パパ日記

ペーパードリップ-7

やっとネルにたどり着きました。

 

現在日本の喫茶店でネルを使用する店はトテモ少なくなっています。
扱いが面倒な面もありますが、其れよりも時間に追われゆっくりした時間を楽しむという傾向が薄れてきているということの方が大きいと感じます。
また店から見れば、ゆっくりとした時間の流れる空間は採算が合いにくいということも考えられます。
コーヒーは、単なる飲料ではなく、歴史的にその国々の文化を形成してきたものです。日本の喫茶店もその発展の歴史の中でさまざまな文化を構築し続けていると思います。

 

 

ネルの抽出について語ることは、日本の抽出や喫茶などの歴史を語ることもしくはコーヒー文化を語ることにつながりますが、このあたりは省略します。

 

 

先般の日経産業地域研究所の調査(1000人/2014年11月/全国の20~60代対象)では、喫茶を月1回以上利用する人の割合は64%、その中でチェーン店派が79.4%で個店は少なくなっています。
チェーン店派は20代の女性が多く、個店派は60代男性のようです。
利用目的は、「ひと休み」「コーヒーなどを味わう」「友人との会話」などとなっています。

 

 

このような調査は地域差が大きくあり、また設問の仕方でもマーケット状況の見える世界は変わるのであくまで平均値の一部としてみた方がよいでしょう。

 
とにかく、時の流れの感覚が昔と大きく違っていると感じてます。
私のサラリーマン初期の時代(40年位前)は、新年あいさつには「お屠蘇」はつきものでした。
会社も酒をふるまい、行く先々で酒を飲むくらい余裕や寛大さのある懐の深い時代でした。今ではそんなことは考えられない効率優先の時代です。
個店を維持するのが難しい時代になってきているとは思います。

 

 

また話がそれましたがネルに話を戻します。
ネルは両起毛、片起毛、その厚みもいろいろです。
また 2枚はぎから3枚はぎまで様々です。
口径が広いもの、口は狭く縦に長いもの等その形状も様々です。
それらが、微妙に香味に影響を与えますので昔から論争も多く、難しい抽出器具といえます。

 

 

これまでネルを使用してきた所感は以下の通りです。
ペーパーに比べ湯は通りやすいので、抽出の方法が重要となり、「ゆっくり、細く注ぐこと」が基本となります。点滴のように注ぐ方もいます。

 
何が正しいか?
正解はないと思いますが、感覚的には以下のようなものだと思います。

ドリップの基本ですね。
初めに抽出された液体で、さらに下部のコーヒーの粉を抽出するような感覚
粉に含まれている成分をゆっくり溶解して浸出させてくような感覚
とでもいうのでしょうか?

 

 

コーヒーの液体は、粘性や濃縮感が増します。
ペーパーにクリーンさを求めるとすれば、ネルはよりボディ感を求めるものだと思います。したがって、浅いローストよりも深いローストに向くでしょう。
抽出はペーパーよりは難しく、その香味を安定させる為には、高度な抽出技術を要します。注意点は以下の通りです。

 
1.ネルの形状、厚み、起毛で抽出速度が変わるため、夫々の特徴をつかみどのように抽出すればよいのかを考える。
2.ネルの使用回数によりネルにしみ込んだ微細な味が影響し、香味が変わるためどのように微調整すればいいかを考える。
3.コーヒー豆は焙煎日からに日数で香味が変化する為、それらと1.2.の関係の中で適切な抽出方法を考える。
いずれにせよ、同じ香味で抽出するには常に微調整をする必要があります。

 

 

堀口珈琲のブレンドNo8をネルで抽出すると、甘い香りが充満します。
液体は濃厚で、柔らかな苦みの中に甘さを感じることができ、コーヒーの醍醐味を体験することができるでしょう。絶品ですよ。
いつか、ネルの抽出セミナーを再開した時には飲ませてあげますね。