先進消費国におけるコーヒーマーケットに国境がなくなりつつあることはこれまで書いてきました。
食の分野ではさら国境というような概念は薄れています。
フレンチがカツオや昆布のダシなど日本的要素を取入れたり(絵画でいうと北斎やなどの影響を受けたジャポニズムがすでにあります)、日本料理がフォアグラなどの食材を使用するのは珍しくなくなりました。
フランスにラーメン屋があり、また弁当(BENTO)は前菜からメインまで一つの容器の中で完成されたもので驚愕をもって受け入れられているようです。
このようなインターナショナルな状況で、料理のジャンルの垣根はなくなりつつありますが、単にフレンチや日本料理の要素を取り入れるという発想では創造的な料理は生まれないでしょう。
優れた料理には、より根源的な自己のアイデンティティが問われると思います。
ナリサワさんの料理を食べ、自分のアイデンティティの中にフランス的なものを消化していると感じました。日本人というより世界の食通を意識した料理と言えるでしょう。
全ての料理に手が込み、一部日本を表現しながらも味は日本料理ではない明晰さをもっていました。このあたりの感覚は様々なフランス料理を食べることにより理解できます。
テーブルで焼くパン(途中まで発酵させた生地をテーブルで焼く)とデザート2種を除き11種の料理は味を確認する最小限の量があり、最後まで食べるのは年配の日本人には困難なくらいです。
しかし、1回のランチで自己の料理の世界をできるだけ体験してほしいというシェフの思いが込められ、これだけの量になっているのだと推測します。
これらの料理を維持するには多くの食材とスタッフが必要で、多くの労力を必要とするであろうことが想像できます。
ランチに行きましたが夜と変わりないくらいのコースとなっています。
昼であればグラスワイン2~3杯くらいなら3万程度で収まるでしょう。
外国人の客も多く(当日は半数が外人)、国際的なレストランといえます。
アーリーサマーメニューと堀口の珈琲