パパ日記

テースティング会6.13&14ブルボンとパカマラ-2

6/15の続き

コーヒーの香味を酸とコクのバランスで見るとよくわかります。
中米で最も酸とコクのあるブルボンはグァテマラのアンティグア地方で生まれます。
勿論例外も多くありますが、一般的には華やかで甘い柑橘の酸と輪郭の明確なしっかりしたコクが特徴です。

 

 
サンタカタリーナ、ラ・ホヤ、クプラ農園などのブルボンは中米屈指のものです。
これらのコーヒーを数年継続して飲めばある程度香味の全体像が理解できます。
そして、それを基準とすると、グァテマラ・アンティグア以外の産地、他の中米の産地、他の生産国とのブルボンの香味の違いが理解できるようになります。

 

 

このような中でエルサルバドルのブルボンを多く体験してみると、全体として濃縮感のあるコクがやや弱くなる傾向にあることがわかります。
更にこのことが理解できると、どの程度の焙煎度合いが可能か?もしくは良いのか?も理解できるようになります。

 

 
パカマラは2000年頃に初めて体験し、そのよさゆえに日本にいち早く輸入してもらい使用した豆で、それ以降15年間追いかけている品種です。
(以下内容に近いものは以前にも書いたかもしれません。)

 

 
今から10年程前はエルサルバドルのパカマラしか流通がなく、ティピカ系のきれいでシルキーな舌触りの香味でした。
その後2000年後半にグァテマラのエル・インフェルト農園により果実感のあるパカマラがもたらされ、世界に2004年のゲイシャデビュー時のような衝撃が走りました。

 

 

これまでの中米の基本の酸は柑橘の強弱と甘みの有無でしたので、このパカマラには中米のコーヒーにない華やかさであったわけです。
この華やかな果実感はケニアコーヒーに代表されるもので、テースティング会では、「少しケニア入っているね」といういい方もしますが、多くの参加者はその意味を理解できます。堀口珈琲の使用してきたシベリア農園も華やかでしたね。
このような香味のパカマラは、現在世界のスペシャルティコーヒーマーケットで人気があります。しかし、優れたパカマラがみなこの果実感であるとは限りません。

 

 
パカマラには2つの基本の香味があり、その一つはティピカ系のきれいで、やさしい柑橘の酸とさわやかな味わいのものです。
15年前に初めて体験したパカマラは、最高峰のジャマイカのシルキーな香味(今はその面影がありません)でした。
私の引き出しの中にこの香味が明確にインプットされています。

 

 

しかし、華やかな香味の方がわかりやすいために、コンテストなどでも果実感の強いものがセレクトされてしまう傾向が強いのかもしれません。
クリーンでさわやかでなめらかな香味のパカマラが最近少ないと感じるのは、その良さを理解できるコーヒー関係者が少なくなってしまったのではないかとも危惧します。
 

 

時代の流れというかトレンドもあるのかもしれませんが、最近はコーヒーは果実といういい方が多く、果実感がなけれないいコーヒーではないというような短絡的なとらえ方をする人もいるように感じます。
そのような香味は焙煎を浅目にすれば感じやすくなりますので、浅い焙煎で表現すべきという人まで出てきています。

 

 
しかし、焙煎はコーヒーの香味の多様性を表現する手段ですので、画一的にとらえればいいというわけではありません。
コーヒーの香味も、華やかで果実感のあるものばかりがいいわけではありません。

 

 

コーヒーにはさまざまな香味があり、夫々の焙煎の良さがあり、コーヒーの愉しみ方は様々であることを理解すべきと考えます。。