パパ日記

パカマラの基本香味-1

エルサルバドルのシベリア農園のパカマラは、その華やかさゆえに欲しい豆の一つで毎年継続して購入しています。
パカマラはエル・サルバドルで開発された品種ですが、グァテマラなどでも栽培され、ここ数年スペシャルティコーヒーマーケットでの人気は拡大するばかりで、生産者の関心も高まっています。

 

 

私がこの品種に着目したのは2000年前後で、世界的にもあまり認知されていない時期でした。
ジャマイカの状態の良いティピカに似たシルキーな感覚を今でも覚えています。
このとき以来、シルキーという言葉を使用するようになりましたが、このような感覚にはブルマンや他のティピカでもなかなか巡り会いません。
パカマラは、ティピカの突然変異種であるマラゴジペ(大粒)とブルボンの突然変異種のパカスのハイブリッドですのでその香味の出方には多様性があるのではないかと考えます。

 

グァテマラのコンテストで優勝したエル・インヘルトのパカマラは華やかな果実感があり、このシルキーなタイプとは異なるととらえています。
ティピカというよりはブルボン系の優れた香味といえるでしょう。
もしくは、グァテマラのウエウエテナンゴ地域の土壌が良いのかもしれません。
ティピカとブルボンの遺伝子を持ちますので、土壌の適性によりそのどちらかの香味が強く出るのではないかとも推測しますが、確かではありません。

 

 

さてこのシベリアは、華やかなタイプで素晴らしい豆です。
何年か前のシベリアはさらに果実感が強く、エル・サルバドルの豆とは思えない衝撃を受けました。
フローラルな香り、心地よい酸と甘みはエル・サルバドルのパカマラを代表する香味の一つといっても過言ではないでしょう。

 

 

 

このような華やかな香味のパカマラは、わかりやすい香味で世界的に求められますが、私が初めに衝撃を受けたパカマラは、ティピカ系の香味のシルキーなものです。
この系列のパカマラのテースティングマトリクスでは、ジャマイカよりはボディがあり、かつてのベルリナのティピカに近い香味に位置します。酸の控えめなハワイコナにも近いといえます。

 

 

 

このような「味覚のずれの感覚」というか「解明できない苛立たしさ」が、自分の中で消化しきれず、さらなるパカマラを探す原動力になります。
香味は、土壌、気象条件、施肥、精製工程など様々な要因により変わりますので、「自分のとらえ方や感覚や官能評価が正しいのか?」「何か原因があるのか?」などについては何年も根気よく試していくしかないということです。