パパ日記

スペシャルティコーヒーとブレンド-6

私が開業した1990年からの10年間は、ニュークロップの流通は主流ではなく、生豆の品質にも疑問や不満を持っていました。

 

 

ワインの栽培や生産流通を見た時にそれを強く感じましたが、いいものがあるだろうという淡い期待の中で、流通しているプレミアムコーヒー(当時は一般的なコーヒーに何らかの付加価値を付けたコーヒー使用された言葉)をすべて試しました。
日本の商社や輸出会社のブランドもの。例えばグァテマラであればSHBでなくアンティグア、コロンビアであればSPでなくOOコロンビア、ブラジルであればセレクトブルボン、タンザニアであればAAではなくスノートップやアデラ、さらにはブルーマウンテンやOOマウンテン。

 
しかし、毎年継続して使用していく品質のぶれが気になり、何とかより良い香味を作りたいとブレンドつくりに傾注しました。
ハンドピックしたり、その年のよい豆のみを使用したり、焙煎の度合いを替え組み合わせたり、より安定した香味を作るための作業に徹しました。
極端な年はブレンド数種で、ストレート(生産国別)のコーヒーはあまり売りませんでした。
売りたいストレートが多くはなかった訳です。
そんな中で、著名な自家焙煎店が、私と同じ仕入れ先の同じ豆を高値で売っていたような時代でしたので、品質や香味の世界はまだまだ未開と感じたものです。

 

 

 

そのような時代の中でもある程度のルールは作られていきました。
ブレンド表示で産地、品種、銘柄などの表示をする場合には、協議会では当該豆が30%含むことが条件としています。
ブルマンブレンドならブルマンが30%以上、ジャマイカブレンドならジャマイカの豆が30%以上ということになります。

 

 

堀口珈琲のブレンドは、No1~9まであり、焙煎度合いと香味特徴で区分しています。
これらはこれまでブレンドを多く作ってきた堀口珈琲の集大成ともいうべきもので、ここにたどり着くには時間がかかりました。

 
今はスペシャルティコーヒーが簡単に入手できる時代になりましたので、ブレンドよりシングルオリジンという店も多くあります。
コーヒーの多様な香味を理解してほしいという気持ちは十分に理解できます。
しかし、堀口珈琲はそのようなシングルオリジンを世界に先駆け10年以上前から入手し、現在も生産地でよいものをより探しています。

 

 

 

このような歴史を経た上で、スぺシャルティを使用してさらに素晴らしい香味を作りたいと考え作ったものが1から9のブレンドです。

 

 

しかしこれは簡単にできることではありません。
ブレンドの香味を1年間維持していくためには年間を通し多くのシングルオリジンを必要とします。
生豆の生産年毎のぶれ、入港後の生豆状態の変化、生豆の欠品など多様な変化に対応して香味を安定させなければなりません。
複雑な香味を維持するには、配合の微調整するために多くの種類の生豆が必要になります。

 

 

 

幸いなことに堀口珈琲は現在年間100以上のシングルオリジンを調達していますので、それが可能となります。
数年前まではイルガチェフェでさえ香味の安定性がなかったことを考えると、このようなブレンドを作ることができるのは急速なスペシャルティコーヒーの発展によるものと思えます。
 

 

ブレンドはその会社や店の顔ともいうべきもので、その香味のプレゼンテーションはとても重要です。スぺシャルティコーヒーが普及した現在、どの店も問屋からスペシャルティコーヒーを購入できますし、大手ロースターやチェーン店でもシングルオリジンを扱うようになりました。
そのような時代の変化の中で自店のコーヒーを差別化するには、簡単ではありません。

 

 

 

勿論、スペシャルティコーヒーは2極化の方向にありますので、それらでの差別化も可能とはいえます。しかし。多くの場合自店だけのオリジナルの生豆を確保するには、それなりの資金力、取扱量などが必要となりますので簡単ではありません。

 

 

 

堀口珈琲では、現在多くのハイエンドのスペシャルティの生豆を調達し、シングルオリジンとして販売し、またそれらを使用したブレンドを作り販売していますので、その両面で世界のスペシャルティコーヒーをリードしていると思います。

 

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