パパ日記

コニロンとカネフォーラ

ブラジルの経済成長に伴う人件費の高騰、コーヒー関連従事者の減少などでブラジルのスペシャルティコーヒー価格も高値になりつつあります。(現在はやや停滞していますが)
反面大量生産による安いブラジルも多く、日本でもアラビカの低級品やカネフォーラ(ロブスタ)の流通は増加しています。

 

 
ブラジルはベトナムに次ぐカネフォーラ種(ロブスタ)生産国でもあり、カネフォーラはコニロン(conilon)と呼ばれ、2011年時点ではアラビカ74%、コニロン26%程度の生産比率でした。26%といっても、その量は膨大でコロンビアの生産量(1200万袋前後)に匹敵します。

 

 

 

世界的にコーヒーの生産は、アジア圏の消費拡大に伴い増加していますが、カネフォーラの生産量の拡大が目立ちます。
現在の世界のコーヒー生豆生産量は150.000千袋(60kg換算/1袋)程度まで増加しましたが、アラビカ55%、カネフォーラ45%程度になっています。
私がこの仕事を始めた1990年代は、アラビカ70%、カネフォーラ30%程度と言われていましたので、カネフォーラの増産が顕著になっています。

 

 

 

カネフォーラは、アラビカに比べさび病に強く、収穫量も多い品種です。
標高の低めの高温多湿地域でも収穫が可能となりますが、酸が弱く、苦みと重い単調な香味で、当然価格も安くなります。
現在ベトナムがカネフォーラの最大の生産国で、生産量自体もブラジルに次ぐ世界第2位の生産量で、05-06クロップの1400万袋(60kg換算/1袋)から、15-16の3000万袋に増加しています。
ブラジルのコニロンとベトナムのカネフォーラの生産量の増加は、消費の拡大をカバーし寄与しているともいえますが、コーヒーの品質、香味の低下とともにディスカウントマーケットの拡大も意味します。

これらは、アラビカのコマーシャルーコーヒー相場の低下を招き、発展途上国農作物であるコーヒー生産農家の収入の不安定化をもたらす要因ともなります。

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チェリーが多いカネフォーラ

 

 

上記の状況から、日本の低価格コーヒーには、価格の安いアラビカやカネフォーラが多く使用されることになります。
今日飲んだ某ホテルのコーヒーなどは、目を覆いたくなるような最低の品質と香味でした。もちろん一口で飲むのをやめるしかありません。

 

 

 

このようなコーヒーが、当たり前に流通する構造が、コンビニコーヒーをおいしいと感じさせる要因の一つになるのでしょう。
コーヒー消費の全体から見れば、日本のみならず世界のコーヒーの品質や香味の低下が顕著になっているということもできるでしょう。

 

 

 

したがって、これらの市場構造の対極として高品質アラビカであるスペシャルティコーヒーの需要も増加していると推測します。
よい品質のコーヒーを生産することにより、従来のNY相場を基準とした生豆マーケットとは異なる高付加価値のスペシャルティコーヒーマーケットが生まれている訳です。

 

 

さび病の脅威の中で、消費拡大に対しハイブリッド品種やカネフォーラを生産することも必要と考えますが、それらは香味の観点からは劣ると考えますので、優れたアラビカのスペシャルティコーヒーの生産も持続されなければなりません。
これらが小農家の生活の安定に寄与することにもつながります。
 

 

量産品種、手間をかけたコーヒー、それら多様な品質と香味のコーヒーが、適切な価格で流通し、消費者の選択肢がふえる健全なマーケットの構築が必要であり、消費国においてもスペシャルティコーヒーの存在価値があると考えます。