パパ日記

コーヒー精製 3 パナマのWashedとNatural

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Naturalは、酢酸菌や酵母の働きで、Washedより発酵の影響を受けやすいといえます。したがって、過度の発酵臭が付着しないような乾燥方法が問われます。それらは、日陰乾燥、アフリカンベッド(棚)乾燥、パティオ(コンクリート、レンガ)乾燥、ビニールシート乾燥などの影響を受け、乾燥日数、直射日光の当たる時間、カバーの有無、攪拌回数などにより影響を受けます。
但し、現場に張り付いて作業はしたことはありませんので、リアルな感覚はわかりません。

評価の判断は、発酵臭の有無と強弱、その質によりますが、Natural専用の評価表はありませんので、国際的なコンセンサスは出来ていません。個人的には、発酵臭は何らかの精製不備が原因という考え方をしていますが、微細であれば許容できます。この発酵臭の良否の境目の判断は難しいですね。

一般的に、日本のコーヒー会社の品質管理室でのカッピングでは発酵とされるものは当然NGで、日本での発酵臭のコンセンサスは明確です。しかし、最近の米国などの新しい世代のコーヒーショップで、この異臭を体験します。2018年にポートランドのマイクロミルやコーヒーショップを回った際には、明らかな発酵臭から微細な発酵臭までを感じました。この延長に嫌気性発酵もあるような気がします。

2010年前後から、パナマなどの中米の農園がナチュラルの精製にトライしてきましたが、当時は強烈な発酵臭の豆が多く見られました。しかし、最近は、Naturalとわからないような上品で繊細なものもできていますので、その努力に敬意を払いたいと思います。パナマ産のゲイシャ種も初期は「なんでゲイシャ種をNaturalにするの?」と理解できませんでしたが、最近のゲイシャ種やパカマラ種のNaturalはいい塩梅のコーヒーが見られます。

 

2019-20のpanama 品種別のNatural  味覚センサー

 

グラフはパナマ産のNatural。官能評価はSCA方式によるScoreで、味覚センサーの計測値とのあいだにはr=0.662の正の相関性が見られます。
(相関係数は、2つのデータの統計上の類似度で、0.8以上は強い相関があるとし、0.6以上はやや相関性があると解釈します)

2010年代の中米のNaturalは、パナマ産が引っ張ってきましたが、2020年代は、コスタリカ産のマイクロミルのNaturalの豆が台頭しつつあります。