パパ日記

コーヒー品種 9 寄り道 味覚センサーについて

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品種9が抜けていました。
これが下書きで残っていましたのでアップしておきます。


最近データを計測している味覚センサーは、強度を示し、質的な側面をとらえることはできません。
また、作成したグラフは、同じ属性同士の比較は可能ですが、異なる属性の強度比較は厳密には出来ません。

あくまで、味の属性を強度の側面から数値化しています。
SPの場合は、CO(汎用品 )と異なり質的側面が重要になりますので、センサーそのものがそれらに対応しきれていません。そこで、新たな使用方法の開発が問われます。


例えば酸味強くとも、有機酸の種類までも感知できません。
苦味センサーは、苦味物質のの一部を感知しますが、カフェインを感知しません。
渋味センサーは、渋味物質やカテキンを感知しますが、同時に欠点豆の雑味を感知する傾向はみられます。
旨味センサーは、一部のアミノ酸を感知していますが、酸味との関連性があまりよく分かっていません。コーヒーの場合は、いろいろクリアすべき点があります。

味覚センサーは、九州大学の都甲教授が開発してきたインテリジェントセンサーテクノロジー社とフランスのアルファ・モス者の味覚センサーがありますが、私は前者を使用しています。


味覚センサーより人間の感覚の方がまだ確かな面があると思います。但し、官能評価のみでは客観性に欠ける場合や、恣意的な側面を持つ場合がありますので使い方によっては有用に感じています。

大手企業の研究室、商品開発室などで、自社商品の味のチェック、自社製品どうしの比較、自社と他社商品の比較などは可能で、そこから商品開発のヒントを見出せる可能性はあります。これらはCO(汎用品)の場合比較的使用しやすいと思います。

そのため、多くのコーヒー会社や食品メーカー、医療メーカーが使用しています。旨味、苦味、酸味などの 特徴的な風味を探るにはよい分析機です。

しかし、メイラード反応による化学変化のある、複雑なコーヒーの風味を測るのは難しいと感じます。
特にSPについては、風味の質が重要になりますので、従来の使用のし方では満足のいく結果は出ません。

現状の機械の限界を把握したうえで、新たな解析方法を見出していく必要があります。

そのため、この分析機を効果的に使用するには、まずSPのデータを生産国、生産地区、標高、精製方法、輸送方法などの細かなデータと照らし合わせた解析が必要になります。

さらには、SPの成分分析を行った理化学的数値と官能評価データの相関性及びそれらと味覚センサー結果との相関性の検証が必要で、その上でどのような観点から味覚センサーの有用性を見ていく必要があります。


SPの場合は、20年前のようにセンサーにかければ分析が完結するわけではありません。
近赤外線分析と同じように、味覚センサーを官能評価を補完するものとして使用することは可能と思いますが、
それでもSPの風味を理解できる人にしか扱えないでしょう。
さらに一歩進め、風味を予測するためには、データの蓄積が必要になり、解析方法の開発が必要になるでしょう。


コーヒーの場合、さらに高度な分析機を使用すれば、コーヒーの風味がわかるわけでもありませんので、コーヒーの風味研究というのは、厄介です。
800種程度もあるコーヒーの香りの分析などは、さらに厄介で、現時点では到達点が見えません。

このような道に踏み込むには年をとりすぎましたね。