パパ日記

スペシャルティコーヒーと焙煎-10-2

「コーヒーのテースティング」(柴田書店/絶版)には、当時の生豆及び焙煎豆の写真をのせてありますので、今では資料としての価値もあるでしょう。
この本を書いていたのは1999年で、ちょうどスぺシャルティという言葉が米国で使用されるようになりつつあったころです。米国ではエスプレッソやカプチーノがスペシャルティとかグルメコーヒーといわれていましたので、スペシャルティの概念がまだまだあいまいな時期でしたので、この本ではプレミアムという言葉を使用しています。

 

 

昨日この本のページをぱらぱらめくり少し読んでみましたが、時代の過渡期にあったことがよくわかります。これからスペシャルティ業界に参入する方、すでに参入した方はこの本に書かれた内容を再確認すると、スペシャルティコーヒーが何かをきちんととらえ直すことができるのではないかと思います。

 

 

 

この本に衝撃を受け、自家焙煎店(ビーンズショップ)に参入した方は多く、LCFの中核のメンバーはここからスタートしています。

 

 
最近の若い開業者たちは、若い時期からスペシャルティコーヒーに接して育ってきた方も多く、コマーシャルコーヒーを経由しない人も見受けられ、コーヒーの全体像を見ることができていない場合もあるでしょう。

 

 

自分で焙煎し、スペシャルティコーヒーとコマーシャルコーヒーの違いをきちんと把握する経験がないということは、スペシャルティコーヒーそのものの品質と香味の本質を十分に理解できずに、頭でっかちになっているのではないかとさえ危惧します。
SCAAの基準でいえば79点以下の香味と80点以上の香味の違いを理解することはとても難しいことです。ブラインドでカッピングすれば、80点未満のコーヒーをスペシャルティと判断してしまうことが十分に考えられます。

 

 

これまで何度も書いてきましたが、スペシャルティコーヒーは、販売時の生豆の状態の良し悪しが重要ですし、焙煎の良否でも判断されます。きちんとしたカッピングスキルが求められます。
商社がスペシャルティといっているからスペシャルティなのではなく、自家焙煎店は自分できちんと判断できなければなりません。
そして、初めて焙煎という世界に取りかかることができるのです。

 

 

さて、堀口珈琲の求める香味は以下の3つでした。
1.深い焙煎でも、クリーンであること
2.深い焙煎でも、焦げや煙りの香味に支配されないこと
3.深い焙煎でも、産地の個性的香味があること

このためには、生豆の品質、焙煎機の構造や性能、そして焙煎スキルが問われることになります。

続く