パパ日記

スペシャルティコーヒーのテイスティング 4 ケミカルデータと新しい評価基準

https://reserva.be/coffeeseminar
堀口珈琲研究所のコ
ーヒーセミナー

生産地のQグレーダーにとっては、80点以上の評価は直接価格に関わりますので、境界線当たりの風味のコーヒーについてはSPにする傾向が強まりますので、消費国サイドとの点数ギャップが生じる可能性を否定できません。

このようなことを、総合的に判断し、SCA方式を踏襲しつつ評価項目を5項目に減らし、あらたに50点満点方式を作り、
「テイスティング中級」で運用しています。
この「5項目10点法」は、SCA方式の官能評価と理化学的数値(ケミカルデータ)をベースにし、データ評価項目と理化学的な数値との相関性を基に」作成しました。

ここ数年、COE(カップ・オフ・エクセレンス)以外にも、さまざまなプライベートオークションが実施されています。
パナマのエスメラルダ農園、エリーダ農園、グァテマラのエル・インフェルト農園、ANACAFE(グァテマラコーヒー院)、コスタリカの輸出会社、コロンビアの農園、エチオピアのゲイシャ種、ブラジルのアナエロビックなど多くありますので、それら2020年から2021年の中で、SCAスコアが公表されているものついては、「10点法」のスコアとの間の相関性について検証しています。
また、それぞれの官能評価結果と味覚センサーの結果との相関関係についてもデータの蓄積をしています。

これらの官能評価の基準は、理化学的な数値との相関性を見て作成しています。
AcidityはpH、総酸量および有機酸の組成から評価し、Bodyは総脂質量、Cleanは酸価の値、Sweetnessはショ糖量とアミノ酸量を基準にしています。

5項目10点方式とSCA方式のスコアの間にはある程度の相関性がありますので、従来のSCA方式の評価も学習できるように運用しています。
相関性については後日データをアップします。

 

10点法 点数の幅

評価項目 10-9    8-7     6-5 4-3    2-1
Aroma

Acidity

Body

Clean

Sweet

香りが素晴らしい

酸味が非常に強い

コクが十分ある

とてもきれいな味

とても甘い

香りがよい

酸味が心地よい

コクがある

きれいな味

甘い

香りがある

やや酸味ある

ややコク

ややきれい

やや甘い

香りが弱い

酸味が弱い

コクが弱い

やや濁り

甘味が弱い

香りがない

酸味がない

コクがない

濁っている

甘味がない

 

2年間「コーヒーテイスティングセミナー中級」を実施して、この方法を運用しています。5年前まで実施していた「テイスティング会」参加者とは別の新しい参加者も増加しつつあり、徐々にですが、評価のコンセンサスも形成されつつあります。

但し、この評価表は、まだ未完成て、研究途上あります。

 

評価項目

評価項目 評価基準 理化学成分 理化学的数値
AROMA 香りの強弱と質 香り成分 800種以上
ACIDITY 酸の強弱と質 pH/総酸量、有機酸組成 pH4.75~5.2(Medium)
BODY コクの強弱と質 総脂質量 脂質量12g~19g/100g
CLEAN 液体のきれいさ 酸価 酸価1.5~8.0
SWEETNESS 甘味の強さ ショ糖量(アミノ酸量) ショ糖6g~8g/100g
FERMENTED 発酵臭の有無 微発酵からアルコール発酵まで

注)理化学的数値の、AROMA、ACIDITY、FERMENTEDは、焙煎豆、BODY、CLEAN、SWEETNESSは生豆の数値となります。

詳細の説明は後日に続く

堀口俊英(ほりぐちとしひで)
2002 年堀口珈琲研究所設立
2019年東京農業大学・環境共生学博士課程卒業
著作:「The Study of Coffee」新星出版・2020年その他
論文:「有機酸と脂質の含有量および脂質の劣化はスペシャルティコーヒーの品質に影響を及ぼす」2018