パパ日記

イルガチェフェ3種

抽出基礎と応用が連続であったため
大瀧にイルガチェフェを3種ローストしてもらい使用しました。
このイルガチェフェは、20年近く追い求めてきた産地の豆です。
堀口珈琲が、現在日本で最も多くのハイエンドのイルガチェフェを購入しているかもしれません。

 

 

 

ミディアム
柑橘の果実やチェリーなどの酸が華やかでわかりやすい香味になります。
シティ
しっかりした酸にコーヒーとしての奥深いコク加わり、バランスがよくなります。
フレンチ
かすかに残るやわらかな酸と苦みが心地よくアフターテーストに甘みを感じます。
ともに素晴らしい香味ですが、堀口珈琲が年間に販売する豆の種類はあまりに多く、常に3種のローストの販売は不可能です。イルガチェフェのみで数種、さらにウオッシュトとナチュラルの精製の豆も購入しています。基本的にはシティで販売しますが、豆のポテンシャルが高い場合にはフレンチでも販売します。ミディアムもいい味なのですが、毎日飲んでいくと物足りなくなってしまうので販売は限定されます。

 

 

 

深くローストできるということは、標高の高い産地の中でも優れたテロワールのあるものでなければ難しく、どんな生豆でも深くローストできるわけではありません。
むしろ例外的に優れた豆でなければ、ロースト過程で熱が入りすぎ焦げたり、また産地の個性が消滅してしまいます。コーヒーの適性ローストは、豆の特性によりますが、優れた豆の多くは多様なローストに対応できるといういい方も可能でしょう。
浅いローストのコーヒーもその個性を発揮しますが、多様なコーヒーを飲みこんで、多様なローストの良さも理解できるようになると、嗜好はより複雑な香味を求めるようになるはずです。
スペシャルティコーヒーのローストは「浅いほうが、酸と甘みがわかりやすくいい」いいという声も聴きますが、本当に優れたコーヒーはローストの適性の幅が広いということも理解すべきでしょう。

 
このことは、中米を例に例えれば、どの国のどの産地のどの農園の豆が最も酸とコクのよいコーヒーを生み出し、どのようなロースト適性の中でそのポテンシャルを発揮するのかということが理解できなければなりません。夫々の生豆の香味を区分するには酸の強弱とコクのニュアンスを理解できなければなりませんので、多くの農園の生豆を毎年購入したり、サンプルカッピングするという体験しと経験を積み重ねなければなりません。
農作物という観点からみれば当たり前のことですが、数年で簡単に判断できることではなく、膨大なカッピングの積み重ねの中で確認していく作業の果てに導き出されるものです。