たのしいコーヒー

コーヒーのなまえ Vol.1 ~頻出スペイン語編~

コーヒーのなまえ Vol.1 ~頻出スペイン語編~


目次


  1. 1.コーヒーの商品名でよく使われるスペイン語
  2. 2.定冠詞「el」「los」「la」「las」
  3. 3.前置詞「de」と「del」
  4. 4.頻出単語
  5. 5.まとめ

 

Hola ¿Que Tal?

皆様、こんにちは!堀口珈琲オンラインストア担当の島崎です。

今回は「コーヒーと言葉」について、楽しく書いていきたいと思います。
硬い話ではありませんので、肩の力を抜いて、コーヒーを飲みながら読んでいただければ幸いです。
ただ、これは少し意識するだけでコーヒーへの理解がちょっぴり深まる、意外と有益な情報かも(?)しれません。

ぜひ、最後までお付き合いください!

 

 

コーヒーの商品名でよく使われるスペイン語


 

堀口珈琲のオンラインストアに限らず、世の中のスペシャルティコーヒーは商品名が長い!複雑!
本当によくあることだと思います。

例えば…

コスタリカ 「【アルトス・デル・アベホナル】ディビーノ・ニーニョ ナチュラル」 シティロースト

 

舌を噛みそうになるような商品名です。正直スタッフでさえ1回では覚えられません。
お客様からも「コスタリカなんだけど…、あの、深煎りの…、なんだっけ?」というようなお声をよくいただきます。
特に販売期間の短いものや数年に1度しか販売しない商品については、初見で覚えるのは至難の業です。

しかし、商品名は味を記憶したり、その産地をイメージしたりするためにとても大切な要素なんです。

というのも、多くの場合、商品名は「農園名や農地名」「生産者名」「味わいのイメージ」がもとになっているからです。農園名や農地名であれば、その土地の地形や環境を表す言葉が使われることがよくあります。どんな所から来たコーヒーなのか、想像が膨らみますよね。
また、生産者の名前を覚えることで、彼らがより身近な存在として感じられ、コーヒーに対して安心感や愛着が増すかもしれません。

次回以降に同じ商品を購入するためだけでなく、そのコーヒーが一体どんな場所で、どんな人に、どんな想いで育てられたのか、想像を膨らませていただくためにも「商品名」はとても大切な存在です。

今回はこの「商品名」について、覚えておくと理解するのに少し便利な文法や表現を集めてみました。

言語はスペイン語です!
コーヒー産地が密集する中南米で圧倒的に使用されている言葉です。中南米のコーヒーを見かけた際は、ぜひ意識してみてくださいね。

 

ちなみに、例外もありますが、堀口珈琲では基本的に下記のような構成で商品名を付けています。
国名「【マイクロミル名・エリア名】農園名(農地名) 品種名 精製方法」 焙煎度

例)コスタリカ(国名) 「【アルトス・デル・アベホナル(マイクロミル名)】ディビーノ・ニーニョ(農地名) ナチュラル(精製方法)」 シティロースト(焙煎度)

 

 

定冠詞「el」「los」「la」「las」


 

まずは名詞の前に置く定冠詞です。
英語でいう「the」ですね。
聞き手・読み手にとって指示対象が明確な農園名や農地名にはよく付けられます。

英語ではtheのみですが、スペイン語では4つあります。いきなりハードルが上がりました。
結論から言うと、4つはこのように使い分けます。

 

el(エル) 男性名詞の単数形に付ける
los(ロス) 男性名詞複数形に付ける
la(ラ) 女性名詞の単数形に付ける
las(ラス) 女性名詞複数形に付ける

 

初見では意味が分からないですよね。順にいきましょう。
イタリア語やフランス語と同じように、スペイン語の名詞には性別があります。そして、それらの名詞に付ける冠詞にも男性形・女性形があり、それぞれ名詞の性と一致させなければなりません。
さらに、単数形・複数形も、それぞれ合わせて変化します。
スペイン語でも基本的に複数形は最後にsが付きます。

例えば、falda(ファルダ)はスペイン語で「スカート」という意味の女性名詞の単数形です。
ですので、定冠詞はlaになります。la falda(ラ・ファルダ)。そして複数形ならば、las faldas(ラス・ファルダス)となります。

頭で覚えるよりも、いくつか例を見た方が理解しやすいかもしれません。

 

El campo(エル・カンポ):campo(カンポ)は「畑」や「野原」を意味する男性名詞の単数形です。なのでelが付きます。もし、複数の畑を表すのならLos campos(ロス・カンポス)になります。

 

Las camelias(ラス・カメリアス):camelias(カメリアス)は「ツバキ(などの赤系の花をつける木の総称)」を意味する女性名詞camelia(カメリア)の複数形です。ですので、定冠詞はlasになります。もし、特定の一本の木を表すのならLa camelia(ラ・カメリア)になります。

 

双方とも、実在する農園名・農地名です。エル・カンポはthe・畑!という何とも思い切った名前ですね。インパクトがあります。ラス・カメリアスは農地の近くにそのような花がたくさん咲いているのでしょうか。素敵な農園です。

数年前に販売したコスタリカにあるLos duraznos(ロス・デュラスノス)という農地は、まさにdurazno(デュラスノ)=「桃」、がシェードツリーとして何本も植わっています。

 

こんな具合で、スペイン語の定冠詞は名詞の性別と単数/複数に応じて変化します。
商品名のなかに「なんかよくわからないけど、いつもあるなあ、エルとかラ」と思われているであろう定冠詞には、このような規則性がありました。

男性・女性と言っても、実際の性別とはあまり関係がなく、調べてみないとわからないことが多いです。詳しい説明は省きますが、大きな傾向として男性名詞は「-o」、女性名詞は「-a」で終わる傾向がありますので、参考にしてみてください。

 

POINT

・スペイン語の定冠詞には「el」「los」「la」「las」の4種類がある。
・それらは名詞の性別と単数/複数に応じて使い分ける必要がある。
・男性名詞は「-o」、女性名詞は「-a」で終わる傾向がある。

 

 

前置詞「de」と「del」


 

次に前置詞の「de」です。

de(デ)、は定冠詞に比べ簡単です。
ずばり、日本語でいう「~の」という意味です。
英語では「of」や「from」に対応します。
商品名で使用する場合はほとんど「of」(所属や所有)の意味で使用されます。

これも例文を見てみましょう。

 

El Cielo de Selguapa(エル・シエロ・デ・セルグァパ):Cieloは「空」を意味します。Selguapa(セルグァパ)はこのコーヒーが生産されたエリアの地名です。つまり、「セルグァパの空」という商品名ですね。
このエリアは自然以外に何もなく大空が広がっていること、そして品質としても最高峰のホンジュラスコーヒーを生み出す地であることを信じて名づけられました。

 

同じように、コスタリカでおなじみのマイクロミルMontes de oro(モンテス・デ・オロ)は「金の山々」という意味です。Montesは「山」を意味するmonte(モンテ)の複数形。oro(オロ)は「金」という意味です。かつて金が採掘されていたのでしょうか。

 

定冠詞に比べ、比較的簡単でした。
ただし、deについても少しだけやっかいなことがあります。
前章でご紹介した定冠詞elが直後にくると変化することです。

例えば、コスタリカの古参マイクロミル「ブルマス・デル・スルキ」。
スペイン語で表記するとBrumas del Zurquí。
これは、文法の基本通りに書けばBrumas de el Zurquíなのですが、de elの部分がくっついてdelになっています。

これは、なぜかというより、そういうものだと覚えた方がよいでしょう。
発音においても、デ エルと発音するよりもデルと言った方が楽ですね。

以上が前置詞「de」のご紹介でした。

 

POINT

・前置詞の「de」は日本語でいう「~の」(所属や所有)という意味。
・定冠詞elが直後にくるとde elの部分がくっついてdelになる。

 

 

頻出単語


 

エルとかラの意味はわかった。デの意味もわかった。
ただ、単語がわからないと結局覚えられないじゃない!

ごもっともです。
正直、単語は調べてみないと、それがどんな意味なのか、普段からスペイン語に触れていなければなかなかわかりません。

ただし、よく使われる単語はあります。
ここではコーヒーに関係するスペイン語でよく使われる単語の一部をご紹介します。

 

【alto / alta(アルト / アルタ)】
形容詞では「高い」という意味。男性名詞altoは「高い所(場所)」などを意味します。El alto(エル・アルト)という農地名は頻出です。
例)「【ロス・クレストネス】エル・アルト」

【santa / santo(サンタ/サント)】
聖人・聖女の名前に冠して「聖~」という意味です。
例)「【サンタテレサ】サンタテレサ2000」
例)「サンタカタリーナ農園」
男性名に冠する場合、例外的にTomás, Tomé, Toribio, Domingoを除いてsantoの語尾が脱落してサン(san)になります。
例)「サン・フランシスコ農園」

【finca(フィンカ)】
女性名詞で「農園」や「農場」という意味です。

【grano(グラノ)】
男性名詞で「豆」を意味します。grano de caféは「コーヒー豆」
例)「【グラノ・デ・オロ】ラ・ロシータ」 ※オロはoro(金)。コーヒーは貴重な換金作物です。

【jardin(ハルディン)】
男性名詞で「庭」や「庭園」を意味します。
例)「【ドン・マジョ】エル・ハルディン」
例)ホンジュラス「ハルディン」

【patio(パティオ)】
男性名詞で「中庭」を意味します。コーヒー関係では乾燥場のことを「パティオ」と言ったりします。

 

 

まとめ


 

いかがでしたか?
長く複雑で覚えられなかった名前も、ルールを少し覚えるだけでちょっぴり身近になりますよね。
お好きなコーヒーや気になるコーヒーの商品名、ぜひ調べてみてください!
隠された意味が浮かび上がってくるかもしれません。

 

では最後に少しだけ腕試し。

冒頭で挙げた「アルトス・デル・アベホナル」。
こちらを解剖してみましょう。

スペイン語で表記するとAltos del Abejonalです。

ここまでの説明でなんとなく意味がわかった!という方は、素晴らしいです。

では一緒に確認していきましょう。

まずaltoがあります。
頻出単語でご紹介した「高い所」という意味の男性名詞です。
複数形のsが付いていますので「高い所」が複数。つまり「峰々」というニュアンスでしょうか。
次に前置詞delが確認できます。
そうです。これは「~の(所属)」を表す前置詞deが、直後の定冠詞elとくっついてdelになっています。
そして、アベホナルはコスタリカのレオンコルテスにある地名です。

つまり、日本語にすると「アベホナルの峰々」です!

2,000mを超える山々が連なるレオンコルテスの自然を想像してみてください。
早朝、まだ薄暗く冷え切った周囲。
稜線が徐々に明るくなり始め、太陽の陽射しとともに霧は晴れていきます。
犬の遠吠え。ニワトリの鳴き声。

光が隅々まで行き届くと、パンパンに実った真っ赤なコーヒーチェリー達が姿を現します。

それを収穫するために集まったピッカーの人々の話し声がどこからか聞こえてきました。

・・・。

 

なんて、イメージすると

ちょっとだけコーヒー、おいしくなりませんか!

 

今回は以上です。
良い反応がいただければシリーズ化していきたいと思います!

 

Hasta luego !

 

 

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