通常コーヒーチェリーの中には向き合った2つの種子が入っています。
これを平豆(Flat berry )といいます。
しかし、チェリーには小さな丸い種子が一つしか入っていないものがあり、
この種子は丸豆(ピーベリー:Peaberry)と呼ばれます。
1本の樹から収穫されるチェリーの5~10%程度あるといわれています。
平豆用のスクリーン(篩)で選別をすると、粒が小さく篩から落ちてしまいますので、スクリーン15以上の平豆の中にはほぼ混入しません。
したがって、スクリーンサイズの小さな豆と一緒になり、国内消費に回る事例が多く、価格が安く流通しています。
しかし、昔からハワイコナおよびタンザニアのピーベリーは米国向けの市場があり、昔から選別され流通していました。
特にハワイのピーベリーは珍重され高い価格で取引されています。
日本では、スクリーンサイズの大きい豆の人気があったため、ピーベリーの需要はほとんどありませんでした。
しかし、2000年以降、徐々にですがその希少性が見直され、各生産地に対しピーベリーの選別を依頼する事例も増え始めました。現在では、ブラジルを含むいくつかの生産国のピーベリーが流通しています。
枝の先にできる比率の高いピーベリーは、通常2出来る種子のうち一つのみが受精して発育したものです。
普通に考えれば、粒が小さく、栄養が回わっていないのではないか?とも考えられピーベリーよります。
しかし、モカ種などはピーベリーより、小さいにもかかわらず風味はよいのでピーベリーだから風味が乏しいとも言い切れません。
そこで、2019年の11月にピーベリーをいくつかサンプリングし、テイスティングしました。
このデータは、2024年に発売予定の「コーヒーのテイスティング」の原稿から抜粋したものです。
この11サンプル中でスペシャルティコーヒーとしての評価できたのは、タンザニアとケニアのみでした。
表・ピーベリーのテイスティング(堀口) 2019.11
生産国 |
精製 |
Crop |
水分 |
pH |
Brix |
評価 |
コメント |
1ブラジル 2ブラジル 3インドネシアバリ 4スマトラ 5ハワイ・オアフ 6雲南 7タンザニア 8マンデリン 9ジャマイカ 10ブラジル 11ケニア |
PN N W SM W PN W W W N W |
2019-20 2019-20 2019-20 2019-20 2019-20 2029-20 2018-19 2019-20 2017-18 2018-19 2018-19 |
10.7 8.8 9.3 9.9 11.1 10.1 10.3 9,8 9.4 10.2 10.8 |
5.6 5.6 5.4 5.4 5.6 5.6 5.4 5.4 5.5 5.5 5.4 |
1.2 1.2 1.2 1.3 1.2 1.3 1.4 1.4 1.3 1.3 1.4 |
11 20 27 30 26 31 36 34 14 15 37 |
鮮度劣化、藁 鮮度劣化 濁った味 ほどほどの酸味 鮮度劣化 ややコクがある クリーン マンデリンらしい 鮮度劣化、藁 未熟豆と濁り やや華やか |
評価は50点満点。35点がSCA方式で80点と相関します。
1~5、および9,10は、すべて鮮度が落ちています。口腔内に濁り感や渋味が残り、テイスティング時にはよい鮮度状態を維持していません。
酸味は、入港後半年で若干減少しますが、PBはもともと酸が弱い(pHが高い)傾向があると推測されます。
また、脂質量の低下や脂質の劣化も早い豆と推測されます。