パパ日記

1・2024年papaブレンド「初めにピーベリーについて」

通常コーヒーチェリーの中には向き合った2つの種子が入っています。
これを平豆(Flat berry )といいます。
しかし、チェリーには小さな丸い種子が一つしか入っていないものがあり、
この種子は丸豆(ピーベリー:Peaberry)と呼ばれます。
1本の樹から収穫されるチェリーの5~10%程度あるといわれています。

平豆用のスクリーン(篩)で選別をすると、粒が小さく篩から落ちてしまいますので、スクリーン15以上の平豆の中にはほぼ混入しません。
したがって、スクリーンサイズの小さな豆と一緒になり、国内消費に回る事例が多く、価格が安く流通しています。
 

しかし、昔からハワイコナおよびタンザニアのピーベリーは米国向けの市場があり、昔から選別され流通していました。
特にハワイのピーベリーは珍重され高い価格で取引されています。
日本では、スクリーンサイズの大きい豆の人気があったため、ピーベリーの需要はほとんどありませんでした。
しかし、2000年以降、徐々にですがその希少性が見直され、各生産地に対しピーベリーの選別を依頼する事例も増え始めました。現在では、ブラジルを含むいくつかの生産国のピーベリーが流通しています。

枝の先にできる比率の高いピーベリーは、通常2出来る種子のうち一つのみが受精して発育したものです。
普通に考えれば、粒が小さく、栄養が回わっていないのではないか?とも考えられピーベリーよります。
しかし、モカ種などはピーベリーより、小さいにもかかわらず風味はよいのでピーベリーだから風味が乏しいとも言い切れません。

そこで、2019年の11月にピーベリーをいくつかサンプリングし、テイスティングしました。
このデータは、2024年に発売予定の「コーヒーのテイスティング」の原稿から抜粋したものです。
この11
サンプル中でスペシャルティコーヒーとしての評価できたのは、タンザニアとケニアのみでした。

 

表・ピーベリーのテイスティング(堀口)              2019.11

生産国

精製

Crop

水分

pH

Brix

評価

コメント

1ブラジル 

2ブラジル

3インドネシアバリ

4スマトラ

5ハワイ・オアフ

6雲南

7タンザニア

8マンデリン

9ジャマイカ

10ブラジル

11ケニア

PN

N

W

SM

W

PN

W

W

W

N

W

2019-20

2019-20

2019-20

2019-20

2019-20

2029-20

2018-19

2019-20

2017-18

2018-19

2018-19

10.7

8.8

9.3

9.9

11.1

10.1

10.3

9,8

9.4

10.2

10.8

5.6

5.6

5.4

5.4

5.6

5.6

5.4

5.4

5.5

5.5

5.4

1.2

1.2

1.2

1.3

1.2

1.3

1.4

1.4

1.3

1.3

1.4

11

20

27

30

26

31

36

34

14

15

37

鮮度劣化、藁

鮮度劣化

濁った味

ほどほどの酸味

鮮度劣化

ややコクがある

クリーン

マンデリンらしい

鮮度劣化、藁

未熟豆と濁り

やや華やか

評価は50点満点。35点がSCA方式で80点と相関します。

1~5、および9,10は、すべて鮮度が落ちています。口腔内に濁り感や渋味が残り、テイスティング時にはよい鮮度状態を維持していません。
酸味は、入港後半年で若干減少しますが、PBはもともと酸が弱い(pHが高い)傾向があると推測されます。
また、脂質量の低下や脂質の劣化も早い豆と推測されます。