パパ日記

シェフとメートルドテル

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今月の料理王国は対談集で珍しい企画です。
斉須さんと北島さんが表紙。ともにフレンチの重鎮。
もう「コートドール」の斉須さんとは20年くらいの長い付き合いです。
日本で最も真摯な料理人の一人でしょう。
ここで働けるスタッフは幸せですがそのことを簡単には理解できないかもしれません。
時がたち、残るものの大きさをかみしめた時にわかるのだと思います。
料理店は、入れ替わりが激しく、彼らは数年でパリに旅立ちます。
「今は情報があるから、若い人はフランスに行く前に知識をつけて、スマートにやり抜く方法も知っているのでしょう。~~僕らの時代は、ぶつかって痛い思いをする過程で感覚が研ぎ澄まされたり、覚悟を身につけたりもした。」(斉須さん)
コーヒー業界も同じで、今はいくらでも情報があり、だれでも真似が出来てしまいます。
明日開業するビーンズショップでも、シングルオリジンの豆を並べ、能書きを述べることができます。
しかし、多様な香味を体験してきたプロセスがないため、そのコーヒーの品質、香味や価値を本当に理解できないでしょう。
ですから、真摯に勉強し、謙虚に研鑽するべきですが、わかったつもりになってしまう人が多いと感じてしまいます。

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コートドールにて

 

イタリアンの名店となった「バリック」の坂田さんも大阪のポンテベッキオの山根さんと対談しています。
坂田さんとも長い付き合いで、閉店した六本木の「クローチェ・エ・デリティア」のホール担当の頃からです。今は「ラ・バリック東京」を開業し、一躍リストランテとして脚光を浴びています。
日本のイタリアンのホールとしては屈指の人材です。
穏やかな笑顔はそれだけで安心感をお客様に感じさせます。

「まず、お客様がどのような方なのかを、瞬時に見抜く力が必要ですね。そのためには日ごろから感受性を磨いておく必要があります。」
「サービスの仕事は対処すべきことが同時に多発的に怒るのが日常茶飯事。起こったことに柔軟に対応できなければいけません」(坂田さん)
飲食店にとってホールは最も重要なポジションです。
本来であれば店の顔となり、お客様に最も接しますので、オーナーが担当すべきなのですがそれがかなわないので、代わりにマダムやメートルドテルなどのサービス担当がいます。
店の印象は、ホール担当でよくも悪くもなってしまいますので、「気」働き=感受性が問われます。
昔はスタッフに「気配で感じろ」「目線で感じろ」とか「後ろにも目をつけろ」「優先順位を考えろ」「すいませんといわれるな」「スピーディーに正確に」「きれいに」とかいろいろことをいいました。