パパ日記

コスタリカのティピカ

ティピカは、パリの植物園からカリブ海のマルティニク島に苗木が持ち込まれ育てられた木からカリブ海の島々、中南米に伝播した品種をいいます。アラビカ種は、エチオピアやイエメンなどの在来系品種以外の多くはこの品種とブルボン種を起源とします。したがってこの2つの品種の香味を理解することはコーヒーの基本の香味を理解することにつながります。

とりわけ業害虫に弱く、生産性の低いティピカ種は、多くの生産国で壊滅的な栽培状況にあります。
中南米では今やほとんど栽培されていませんので、ティピカを知る生産者も減少しています。
グァテマラのティピカはハワイ島に植えられましたが、現在のグァテマラではブルボン、カツーラが主流となりティピアを知る生産者はほぼいません。例外的な事例として、カルモナ農園に植えられているくらいでしょう。
コスタリカも、すでにカツーラが大部分でティピカを知る生産者は年配の方しかいません。
昔、某輸出会社の年配のカッパーと話した時に「昔はいいティピカがあった」という言葉が印象的でした。

 

 

このことは消費国にも言えることで、すでに欧米ではティピカ種がどうこうというコーヒー関係者はほとんどいないと思います。日本はもともと伝統的品種にこだわる人がいましたが、今では極めて少数派でしょう。
団塊の世代以上のコーヒー関係者で、ティピカ種にこだわる人が少し残っているくらいになってしまいました。
キューバ、ドミニカのティピカも今はほぼなくなり、コロンビアでさえさび病によりなくなりつつあります。
コーヒーの品種の歴史は、病害虫対策としてティピカから新しい品種に植え替えられた歴史といえます。
このことは、コーヒーの生産から見ればやむを得ないことですが、生産国サイドにもこの品種が重要であり、一部を伝承しようという意識も必要だと感じます。

 

 

今の若いコーヒー関係者は、ティピカそのものの減少のなかで、その香味を理解できなくなっていると感じます。これはゆゆしきことと考えます。

コーヒーの基本の香味を、ティピカの香味として位置すけることが重要です。
この香味を理解することで、初めてコーヒーの香味を体系的に理解できるようになるとというのが私の考え方です。つまりは香味を比較するうえでの基準値となる訳です。
そのために20年以上ティピカを追いかけてきたわけですし、東チモールにも関わってきたわけです。
私の長い歴史の中で、いいティピカに巡り会えず、「自分の考え方がおかしいのか?」「求めるものが幻の香味なのか?」など悩みつつもあきらめずに追いかけてきたわけです。
その結果として、最近はいいティピカを確保することができ満足しつつあります。
コロンビアのオズワルドのティピカ、ベルリナのマリアさんのティピカ、東チモールの出来のよくなったティピカなどよくここまでそろったと感慨深いものがあります。

 
ケニアは華やかな香味で素晴らしいコーヒーです。
しかし、この香味をきちんと理解するには、ティピカの酸とコクなどとどのように違うのか?
がわからないと、コーヒーには香味の多様性があり、そしてケニアの香味の素晴らしさの本質は見えないでしょう。

 

 

今朝のコーヒー
コスタリカ「ラ・ピラ農園」ティピカ種

コタリカのティピカは、極めて例外的です。
コスタリカはテロワールのいい産地ですのでカツーラでも素晴らしい香味のコーヒーはあります。
堀口珈琲はそれらのコーヒーを探し購入してきました。
その中の一つである「ラ・ピラ」とは長く付き合っていますが、少量栽培されてたティピカを入手しました。
きれい(=クリーン)で、ミカンのような酸となめらかなコクのバランスがよいコーヒーです。
ミディアムボディですが、なめらかでシルキーな舌触りです。
豆を見るとティピカっぽくありませんが、いいティピカ系そのものの香味だと思います。
是非ともアためしください。

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今は亡き陶磁器会社のもの。
輸出用か?ソーサーのデザインが特殊でかなり珍しいカップといえる。
ソーサーの大きなもので、お菓子などを載せられるようなものもあるが、それよりはソーサーが小さい。
日本中探しても簡単にはみつからないカップといえるでしょう。