パパ日記

普通のコーヒーとよいコーヒー その2

現在日本の経済政策は円安誘導であり、輸入コストの上昇は日本経済にボディブローのようにダメージを蓄積させます。しかし、この程度の円安であれば問題ないという政治家やエコノミストもいます。

 

 

前述したように、国内消費コーヒーの価格維持のために、生産国に安い生豆を求めれば、生産コスト割れや、品質の低下をまねきかねません。最悪の場合農家はコーヒー栽培から撤退しかねません。2001年のコーヒーの危機は相場の暴落による生産コスト割れから起こりましたが、2010年代の危機はアラビカ種の生産そのものが維持できるかが問われる危機になる可能性をはらんでいるということです。

 

 
日本マーケットが安いアラビカでさえ使えなくなり、安いカネフォーラ(ロブスタ)を使用するケースも多くなっています。
コメントは控えますが、日本国内の至るとところでロブスタの味が増えています。
そのロブスタの生産量は、20年前の30%から40%近くまで増加しています。(大まかにはアラビカ60:ロブスタ40の生産量)

 

 

ロブをけなしている訳ではありません。
コーヒーは、農作物であり品質による差異があります。
コマーシャルコーヒーのマーケットでも品質により、きちんとした価格設定がされるべきだということです。適正なマーケットが構築されなければ、スペシャルティコーヒーの品質と価格体系がきちんと理解されるようになるまでにはさらに時間がかかるでしょう。

 

 

ロブスタは低地栽培が可能で、さび病などに耐性があり、実が多くとれる品種です。
その反面、香味は、重く焦げた麦や濁り感があり、アラビカのような酸や甘みは感じられません。最大の生産地はべトナムで、高温多湿のハノイでは味の強いコンデンスミルクを入れ飲むのが一般的です。

 

 

ここ数年のさび病は、ジャマイカ、ドミニカ、中米などの一部に深刻な被害を与えています。
この品種はエチオピア、イエメン経由で世界中に広がり、病害虫に弱く、壊滅的な被害を受ける可能性がある品種といえます。
1860年代にはセイロンのコーヒーを全滅させ、インドネシアのコーヒ―の多くはアラビカからロブスタに植え替えられました。

 

 

コロンビアもさび病その他で09-10クロップは810万袋(60k)まで生産量がおちました。
従来の生産量からみれば30%近い大減産です。カスティージョという品種を開発するなどして生産量の回復を図り、現在1170万袋(60k)と6年前くらいの生産量まで回復しています。コーヒー栽培の歴史は、今もこの病気との戦いの歴史でもある訳です。

 

 

世界的なコーヒー生産国であるブラジルやコロンビアなどは、経済成長に伴い、海外からの投資も増え、他の国内産業との競合が見られるようになり、コーヒーに従事する人は減少しています。10年前に堀口珈琲が購入していたケニアの農園の一部は宅地化されています。
コスタリカのトレスリオスでも農園が宅地化されダウンタウン化しています。

 

 

このような状況では、大きな企業であればあるほど自社商品の量的確保のための生豆施策が必要となります。スターバックスは、今年コスタリカで240ヘクタールの農園を購入しています。初めて購入した農園で、確かなことはわかりませんがさび病対策の品種開発などの実験もするのでしょう。

 

 

一方良いコーヒーであるスペシャルティコーヒーの生豆価格は、品質、希少性、香味及び需要などの要因で決まっていきます。すでにNY相場とは無縁のところで価格形成されるようになっています。
極端に言えば、供給量が少ないため支払い能力のある会社が確保するというような構造となります。堀口珈琲では100%良いコーヒーをあつかいますので、その調達は様々な方法によります。
続く