パパ日記

テースティング会2015.1 コロンビアの憂鬱から明るい未来

ここ数年コロンビアはさび病などの影響で1200万袋(60k換算)程度から700~800万袋程度まで減産していましたが、カスティージョ種などの開発やさび病対策で13-14は収穫量の回復が見られました。

 

 

コロンビアは、昔からマイルドコーヒーの代表のように言われてきました。
しかし、南半球の縦長な国ですので北部と南部ではで気象条件や土壌も異なりますので、産地により香味が異なるのは想像できます。
そのため「コロンビアの香味とは何だろう」と考えた時、簡単に答えることは難しいと長い間感じてきました。

 

 

2000年に入りスペシャルティコーヒーの動きが目立ち初め、様々な生産国をトレーダーやロースターが訪問するようになっても、コロンビアは長い間ゲリラとの戦いの中で、一部の生産地に入ることが難しい状態が続きました。
そのような中で、2002年に発足したウリベ政権は、治安対策を強化し、和平交渉の道を模索し、開放経済政策をとり、治安の改善と安定した経済成長を実現してきました。
そのおかげで、2000年後半以降頃からは徐々にコーヒー産地にも入ることができるようになり、新たな産地が開拓され、少しづつ新しいコロンビアコーヒーが市場に出るようになってきました。

 

 

最近は、FNC及び民間の輸出会社も競って産地開拓し、産地、精製、選別などの多様な要素が加味されたスペシャルティコーヒーの流通も多く見られるようになってきました。
しかし、国土は広大でまだまだ体験していない産地のコーヒーも多くあり、その品質や香味にも多様性があると考えられ、コロンビアの香味の全体像の判断はいまだ難しく感じています。

 

 

15年前に私がシングルオリジンを求めた時は、消費国、生産国の多くのコーヒー関係者はその意味を理解できていませんでした。
今では何でもないことでしょうが、当時は「何で農園の豆が必要なのか?」と輸入会社や輸出会社に言われ続けました。
しかし、その地域の本質的な香味が何か?を知るためには、まず点(シングルオリジン)としての香味を多く体験し、その結果導き出される地域の特性を把握するしかありません。
初めから混ぜられた地域の香味からは本質の香味をつかむことはできないでしょう。

 

 

 

個別の農園のコーヒーのテースティングは簡単ですが、そのそれぞれの香味を集約した地域の香味を理解するには膨大なカッピングが必要です。
私が、過去20年間最も悩んだのが小農家が多く、品種の混在もあり、香味のぶれが大きかったコロンビアの香味でした。
しかし、コロンビアはすばらしいコーヒーができるはずだという「思い」を執念のように維持してきました。そしてここ数年南部産のコーヒーの開拓に入り、やっと自分がイメージしていたコーヒーと巡り会うことができるようになりました。

 

 

 

品種は、生産性が低く、さび病に弱いティピカからカツーラとなり、さらにバリエダコロンビアが開発され、今はカスティージョが開発されています。
品種間の香味の差はあるはずが、それらが混在しても品種の香味の差を超えるよい土壌や気象条件があるように思います。
更に、コロンビアにおいて香味にもっとも影響を与えるであろう標高も重要と感じています。

1月のテースティング会は、ウイラとナリーニョでした。
地域の香味差は、簡単に言ってしまえば酸とコクの強弱に少し差があります。
酸はレモンやオレンジのような柑橘で、ナリーニョの方がよりしっかりした酸とコクを感じることができる場合が多く、その香味は蜂蜜レモンのようです。
しかし、優れたウイラとナリーニョは、それだけではなく柑橘以外の果実感が含まれる場合があります。テースティング会の表現では、「少しケニアが入っている」といういい方もします。
優れたケニアコーヒーに見られる熟した果実感がかすかに香味の複雑さを構成することになる訳です。

 

 

テースティング会のサンプルは上原店に作ってもらっています。
今回のウイラとナリーニョは、南部コロンビアの最高峰レベルであろうと推測できるくらい素晴らしいものでした。このレベルであれば、いまだ世界中の多くのコーヒー関係者にとっては未知の領域の香味だと思います。
コロンビアの本質は「ボディにある」と25年間追いかけた甲斐があったと感慨深いものがあります。

 

 

今販売中のコロンビア・ナリーニョのサン・アントニオ農園の二ルソン・ロペスさんのコーヒーをためしてください。
このコーヒーの香味が
南部のコーヒーの最高峰レベルの基準値となると思いますので、他のコーヒーと比較するといいと思います。