パパ日記

ボンヌマールと気候変動

10年以上セラーで寝かせておいたグロフィエのボンヌ・マール2000年を開けました。
このレベルになると新たな入手は不可能で、レストランに在庫があれば飲むことが可能にはなりますが価格かなり高くなります。

 

 

 

意外にも濃縮感があり、まだやや閉じぎみで繊細な香味が出ていませんので5~10年程度は寝かせた方がいいという印象でした。
抜栓は2~4時間くらい前にした方が良いこと、すぐ飲む場合はデキャンタージュした方が良いであろうことがわかります。
ただそれがわかってももう1本がないので試すことができません。

 

 

 

昔のワイントレーニングでは、同じワイン4本を使い
1.抜栓してすぐのもの
2.抜栓して2時間たったもの
3.抜栓し頭切りしたもの(上部の空気に触れている部分30cc程度をのぞいたもの)
4.デキャンタージュしたもの

を飲み比べるということをよくやりました。
ワインの場合一番飲み頃のよい状態にするには、年月を待つしかない場合と無理やり良い状態に近づける場合もあり、単純にデキャンタージュすればよいわけでもなく、優秀なソムリエであれば経験によるテクニックもあると思います。

 

 

 

このワインの場合、ソムリエであればお客様の好みを聞いたうえで、お客様に勧めるべきか否かを、過去の体験データと照らし合わせて判断することになるでしょう。
たくさんの引き出しが必要になり、それを体系的に整理されていることが重要でしょう。

 

 

 

コーヒーの香味も、たくさんの引き出しを準備し、香味をきちんと整理する必要があるのですが、まだ十分な整理をするには多様なコーヒーを体験する時間が必要です。

 

 
ワインのテースティングの歴史をみても、その香味と言葉の体系やコンセンサスが形成されるのは30~40年くらい前からでしょう。
コーヒーの場合は、よいコーヒーの香味をある程度判断するようになって10年程度の歴史しかありませんので、今後10年くらいかければ香味を体系的に理解できるのではないかと考えます。

 

 

 

しかし、コーヒーは農作物で、気候条件の影響を受けます。
私がこの仕事を始めた25年前と現在の気候は異なります。
その気候変動の兆候は生産各国で見られます。
10年豆の香味が再現されるとは限らないような時代になってしまいました。

 

 

 

ここ数年の気温変化、不規則な降雨などの気候パターンは、生産量と品質に影響を与えるばかりではなく、製造コストの上昇につながり、生産国及び消費国にとって深刻な懸念材料となっています。

 

 

某資料によると気候変動の影響をブラジルで見ると、1980年代までは霜の影響があり、1990年代以降は霜より旱魃の影響が多くみられるようになっています。
2000年代に入るとそれが顕著になっています。

 

 

 

汎用品についてはNYの先物取引が指標となりますが、相場の高騰を見ると1990年代は霜の、2008年、2014年は旱魃の影響による生産減予測によるようです。

(尚2011年前後の高騰は、コロンビアのさび病による大減産が原因です。
約30%の減産があり相場の高騰にも影響を与えました。コロンビアはハイブリット種の植え替えなどのさび病対策で減産は解消しましたが、ザビ病はいまだ中米、カリブ海の島々で大きな猛威をふるっています。)

 

昔はブラジルの霜が相場に影響を与えましたが、今は旱魃とのことで、これまでの既成概念「ブラジルに霜がおりると相場が上がる」は根本的に覆ります。
続く