パパ日記

クリーン

日曜から東京は強烈な暑さにみまわれています。
家でクーラーを使い始めました。

 
今朝のコーヒー
ケニア ニエリのファクトリー フレンチ

暑くなると一般的にはコーヒーの需要は落ちますので、自家焙煎店やロースターには厳しい季節となります。したがって夏場での自家焙煎店の開業は避けるのが一般的です。
多くの場合コーヒー以外の冷たい飲み物などにも嗜好が変化したりするからでしょう。

 
スターバックスがそのロゴマークからコーヒーの文字を消したのは、コーヒー以外の飲料の開発にも目を向け、幅広い顧客の獲得に目を向けたからでしょう。
スタバが日本に来て20年近くになりますが、最近のスタバ入門者である女子学生などはコーヒーでスタバに行くよりピーチフラペチーノ等他の飲料で行く人が増えています。
一般的な喫茶店でも当然アイスコーヒーの需要が増します。

 

 

しかし、コーヒー好きは暑いからと言ってコーヒーを飲まないということはありません。
とりわけ深い焙煎のコーヒーを好む方は、その嗜好の度合いが強く1日でもコーヒーを欠かすことができません。
堀口珈琲のお客様にはこのような方も多いと思います。
私見ですが、浅い焙煎のコーヒーを好んで飲んでいる場合より、深い焙煎のコーヒーを好む場合の方がその習慣性は高くなると考えます。
したがって、浅いコーヒーを好む場合には他の飲料で代用することも可能となりますが、深い焙煎のコーヒーを好む場合は代用がきかないのがコーヒーといえます。
ここにコーヒーの持つ魅力が潜んでいます。

 

 

私が開業した1990年の日本ではミディアムローストのコーヒーがおそらく99%程度を占めていたと思います。
私の目指したシティやフレンチは例外中の例外でした。
人間にしか許容できない苦みという味の中に、かすかな酸と甘み、柔らかさと心地よさを求め、そこにコーヒーの本質があると考えていたからです。
食生活や嗜好の変化に伴いミディアム以外の焙煎も増え、日本では焙煎の多様化が進み、さらには米国の影響もありミディアムの浅目の焙煎で酸を求める傾向もみられるようになっています。

 
どの焙煎が良いかは豆の品質や特性によりますので一概に言えませんが、コーヒーの香味は多様であるといえるでしょう。

 

 

このケニアは、フレンチの深い焙煎であるにもかかわらずクリーンです。
「コーヒーとワインはクリーンな方が良い」というのが個人的な見解です。
したがって、生豆の鮮度が落ちたものや欠点豆の混入のあるものは濁りますので品質は重要になります。また重みのない香味の方がクリーンさを感じます。
ワインの場合は、陽を浴びて熟したものよりは厳しい土地で地中深く根をはり養分を吸収したものにデリケートな香味を感じます。
グルナッシュやシラーは重い香味ですが、ピノノワールの方がクリーンな味わいとなります。
ニエリ産のケニアコーヒーは、完熟した香味の中に他のケニア産のコーヒーよりクリーンという味わいに特徴があるともいえるでしょう。

 

 

このような感覚が理解できるようになると、コーヒーの繊細な味わいを愉しむことができるでしょう。アフターテーストにも華やかさと甘みが持続します。