パパ日記

複雑系の香味-2

ワインは、複雑な香味がある方が開く(香味が良い状態になる)には時間がかかる訳です。
同じブルゴーニュでも、ビラージュと1級と特級の差はそこに現れます。
コーヒーにも同じことが言えます。

 

 

ワインがいつが飲み頃か?はとりあえず1本あけて飲んでみればある程度判断できます。
例えば2008を飲めば、すでにピークを過ぎているのか、今が飲み頃か?後何年持つのかがつかめます。
よいワインであればあるほど、力がありますので熟成に時間がかかります。しかし、その熟成の香味こそがワインの醍醐味です。当然これには多くの経験が必要となります。

 

 

 

コーヒーの生豆は、熟成よりも鮮度が重要です。
標高差、品種、精製・乾燥などによりその鮮度の保持期間は異なります。
勿論、現地での保管、輸送や日本での保管も重要です。
そのため堀口珈琲では、輸出のタイミングをはかり、リーファーコンテナ、定温倉庫などを使用し、鮮度低下を防ぐさまざまなことを考えます。

 

 

 

コーヒーを収穫しパーチメントにし、すぐ脱穀しても生豆の青臭さやが残理ます。
そのため現地でのレスティングも1か月以上は必要です。
生豆の購入の仕事に取り組んだ当初、収穫されすぐに脱穀した生豆と1か月と2か月レスティングした生豆を焙煎し、現地でカッピングしても香味の区別がつかなかったのですが、今ではわかります。

 

 

その青臭い状態が落ち着くとニュークロップとしてのよい状態となります。
適切な状態での輸入、保管がなされていれば、生豆の酵素変化は緩やかとなりこの状態は長く続きます。

 

 

しかし、数か月(ものによります)もたてば、状態は変化し、酸に影響が及び次第に乾燥した干し草のような香味を持つようになります。
当然生豆の脂質は12~18%程度はありますので、酸化もしていきます。
ですから、現地で港での滞留(30度以上となる)保管がよくない場合や、ドライコンテナを使用した場合で日本入港時にこのようなダメージの持つものも出てきます。
テースティングでは「藁のような」「枯草のような」「ストロー」などと表現します。
この状態はパーストクロップといういい方もします。

 

 

 

更に時間経過すると「木のような」とか「ウッディ」と言われることもあります。
但し、スマトラのハイエンドのマンデリンのテースティングにおける「木のような」
「檜の香り」などの表現は優れた意味を持ちますので、ダメージの香味とは区分します。

 

 
基本的には、コーヒーは農作物ですので長期保管は困難です。
枯草のような香味が出ないように非常にうまく保管されたとしても、最終的には酵素変化し酸が減少し、もしくはなくなります。
この酸の減少した香味が好きということであれば、これは単なる好みの問題となります。
基本的な生豆の品質という観点からするとズレはします。

 

 

 

勿論、プロであれば標高の低い産地の豆やティピカなどは経験則で生豆が長く持たないことは理解しています。しかし、それらの原因は、気象条件などとの関連だけともいえず科学的な側面からの説明はなかなか難しいことでもあります。

 

しかし、極めて(きわめてですよ、例外的にといってもいいくらいです)優れたケニア、エチオピア、グァテマラなどは、生豆は他の産地に比べ比較的長くその寿命が持ちます。
長く持つということは、ワインと同じように飲み頃になるのに時間がかかるということを意味するのではないかと考えます。
コチョレは、そんな豆だということを感じたと昨日書いた訳です。
ですから、焙煎してからも同じようなことがいえるのではないかと考える訳です。

続く