パパ日記

複雑系の香味とコチェレ

複雑系(complex systemコンプレックス)は、相互に関連する複数の要因が合わさって何らかの性質をみせる系で全体像が読みにくく、個々の要因などが、法則などに基図いて理解できない系統のものとでもいうのでしょうか。
このようなことを前提として思考すれば、ある生豆の系統は複雑系に属すると感じています。

 

 

 

香味の表現で、最近複雑(コンプレックス)という言葉を使用することが多くなりました。
それだけすぐれたコーヒーの香味は多様になり、人間の官能では香味をとらえられなかったり、その豆の香味成分の経時変化が読み取れなかったりすることを強く感じています。
コーヒーの香り成分は1000ともいわれその複合体が香りなのですから当たり前といえば当たり前です。

 

 

 

例えば柑橘のやさしい酸があればそれだけで素晴らしいコーヒーなのですが、ハイエンドのスペシャルティーコーヒーはさらに複雑に赤い果実系や黒い果実系の香味が含まれてきます。
それらは微細ですが、明らかに香味の複雑性に寄与し、香味の奥行きや幅広さをもたらします。

 

 

 

ハイエンドのスペシャルティーコーヒーは、生豆の経時変化に伴う香味の変化があります。この生豆はリーファーで輸入し、定温倉庫で保管し
どのくらい鮮度維持ができるのか?
いつ頃その香味がピークになるのか?
などは重要です。

 

 

堀口珈琲ではケニアやエチオピアだけでも多くの種類を購入していますので、そのような高度な判断がカッピングに求められます。

 

 

これは、ブルゴーニュのワインが、どのくらい持つのか?
いつ頃が開き飲み頃になるのか?
というテースティングと同じです。

 

 

また、焙煎豆の経時変化に伴う香味の変化も、より大きくなります。
どの時期に使用した生豆の香味がどのような香味になるのか?
その焙煎からの経過日数でどのように香味が変化するのか?
というようなことを検証しなければならないような程複雑な香味の世界が目の前に生まれてきている訳です。

 

 

これはスペシャルティコーヒーを長期に使用して来た経験をベースに、さらなるハイエンドのスペシャルティーコーヒーを使用してきてなんとなくたどり着く感覚ともいえます。このあたりの感覚は、多くの生豆を購入してきて初めて理解できるもので、プロでもなかなか理解するのは難しいでしょう。
コーヒーの香味は、官能的にはそれくらい難しいものです。

 

 

 

やっと本題に入ります。

コチェレは、焙煎時には特徴的な香りは少なく、こんなものかととらえてしまうかもしれません。

購入してから常温で冷暗所に保管し、1週間後にも飲んでみてください。
10日後が一番はっきりした香味が出るかもれません。

今日のコチュレは、柑橘の明確な酸、夕張メロンのような甘いアフターなどを感じることができなかなか良いコーヒーと確認できます。
またこの生豆を半年後に焙煎した場合には、焙煎後3日で素晴らしい香味が生まれる可能性が高いとも予測します。これが、複雑系の生豆ということです。
したがって生豆購入判断時に高度なカッピングが問われるわけです。

 

続く