パパ日記

日本の焙煎業-5 このへんで終わりにします 

焙煎会社は、コーヒー飲料の原材料の供給元であり、主にはレギュラーコーヒーの生産にたずさわります。日本標準産業分類では、製造業の中の飲料・たばこ・飼料製造業に中分類され、コーヒー製造業に該当します。

 

 

年間1万トン(166.600袋/1袋60kg))を超える企業は5社のみで60%弱のシェアがあり、上位10社までで70%を占めますので、寡占化が進行しています。
中堅会社が少なく残りの大半が小企業です。
現在、全日本コーヒー商工組合連合会加盟の会社は、200社余りですが、私が開業した1990年頃に比べ半数近くに減少しています。
これらは、主に喫茶店卸を中心としていた中小焙煎業が、喫茶店の減少とともに売上を維持できなくなったことが大きく影響しています。

 

 

 

喫茶の衰退は、喫茶店自体が内包する問題及び外的状況の変化であるFF(ファーストフード),FR(ファミリーレストラン)、コーヒーショップチェーンの拡大、さらにはコンビニコーヒー拡大による競争の激化などが考えられます。
また、他方2000年以降台頭したスペシャルティコーヒーを扱う自家焙煎店の増加の影響もあると考えられます。

 

 

コーヒー製造業の従業員数でみても、100人以下の会社が90%を占め、その寡占化は進行しています。さらに20人以下の会社が60%を占めますので、コーヒー製造業の構造は、大手5社、少数の中企業、その他多くの小企業及び自家焙煎店という構造となっています。

 

 

 

この集約化は、あくまでコマーシャルコーヒーマーケットの中で進行しています。
しかし、2000年以降のペシャルティコーヒーは新しいマーケットを生み出し、自家焙煎店は増加しています。これらは全国に根を張りつつ、家庭用の市場にコーヒーを販売してきましたが、地域での知名度の向上とともに個人の新規開業者へのコーヒー提供元にもなりつつあります。

 

 

 

缶、インスタントを除く業務用+家庭用のレギュラーコーヒーの使用量である約187.000トン(3.116.600袋)のうち、自家焙煎店の市場占有率は、明確ではありませんが10%に迫るのではないかと推測してます。(データは皆無です)
また、自家焙煎からスタートした店が、生豆取扱量もしくは仕入れ金額で既存の小ロースターを超える事例も見られるようになっています。

 

 

つまり、2000年以降のコーヒー市場は、経済産業省の「工業統計表」では読み取れない部分があり、別の視点から考える必要があります。

 

コーヒーは、すでにスペシャルティコーヒーとコマーシャルコーヒーに分けて考える必要があり、
スペシャルティの中でもハイエンドのスペシャルティと普通のスペシャルティ、コーマシャルもハイコマーシャル、コマーシャル、ローグレードくらいに区分できます。
コーヒーはみな同じではなく、そこには大きな品質、香味の差があります。

 

 

 

コマーシャルコーヒーやその中のカネフォーラ種も業害虫対策や消費の拡大対策としての量産種として重要です。(カネフォラは苦み強く酸が弱い、価格が安く日本でも多くブレンドに使用されている)
しかし、コーヒー生産がすべてそのようなコーヒーになってしまうことは、生産国における生豆価格の低迷と生産意欲の減退を招き、、消費国においては品質の選択のできない画一的なコーヒーのみとなり、最終的にはコーヒー飲料の消費減、不安定さ、最終的にはコーヒー産業の衰退につながると考えます。
スペシャルティコーヒーの重要性は、よりよいコーヒーの生産と消費という循環の中で、多様なコーヒーの選択肢が生まれることに意義があり、産業としての持続性を維持するからと考えるからです。

資)経産省「工業統計表」など