パパ日記

創業と6月のカフェショー

現在の建築ラッシュは、何を意味するのでしょう。
4月には、新宿のニュウマン、恵比寿のアトレ新館、有楽町には東急プラザがオープンし、更に銀座6丁目の松坂屋後地の商業ビルも2017年には開業します。
立川のららぽーとその他の商業施設などあまりに多く、あげたらきりがありません。
丸の内の三菱系の土地や大手町の郵便局、港区のオークラの本館の建て替え、渋谷駅の大規模開発などバブル期を彷彿させます。
また、多くの施設が老朽化で建て替え時期と重なり、さらにはオリンピック施設さえあります。

 

 

 

 

商業ビルの場合は、多くのテナントが入ることになり、従来とは異なる新鮮な店が求められます。
最近ではコーヒー店のニーズは多く、既存のスタバやタリーズとは異なる新しいスタイルの店の出店も目立ちます。しかし、それらもいつ新鮮さを失うかもしれません。
開店したての商業施設には多くの消費者が集まり、一見日本の景気は良いように見えます。
しかし、国内消費のパイが拡大しているわけではなく、どこかが良ければどこかが落ち込む構造といえ、みんながよくなるという時代ではないでしょう。

 

 

 

金融緩和、輸出振興、公共投資をしていく経済政策で消費そのものを拡大し、景気がよくなるというのはバブル時代の発想と思えてなりません。
今、円高を是正しなければならないとの論調も片手落ちで、円安で収益を上げる会社がある反面、輸入会社等利益を減少させる会社もあれば、輸入商品価格が上がることになります。
為替は、市場原理や国家間の思惑などにより変動すると考えられますが、80円と120円の幅の大きさの方が問題で、適度な安定の方が重要です。

 

 

 

 

日銀は輪転機を回し続けていますが、デフレが解消しているとはいえません。
大卒初任給は10年前と変わりませんし、非正規雇用の増加は消費を生み出しません。
人は使う必要があるから利息を払ってまで借金します。
借りたお金は必ず使われ需要を増加させ、デフレを緩和させるはずです。
しかし、大金を借りる企業の一部は、バブル期よりも多い収益を上げむしろ資金を余らせています。
反面お金を借りたい企業は業績が悪く、銀行は貸せないという構図が単純に読み取れます。
マイナス金利の中でも貸出先は少なく、このジレンマの中でお金は海外か土地建物に向かうしかないと考えられます。

 

 

 

1986年から1991年までのバブル期とその崩壊後の経済不況を体験してきた者には、今はそのバブルに近いものを感じてしまいます。
50歳以下の人にはわからない皮膚感覚のようなものかもしれません。
日本のバブル期は、山手線内の土地価格で全米の土地が変えてしまうくらい暴騰したのですが、そのあまりの異常さに気づかずにいた訳です。

 

 
2020年、2025年問題など数え上げたらきりのないくらい問題が山積する時代であり、
解決するには英知が必要で、「経済はいい時ばかりではないこと、経済はどこかが良ければどこかが悪くなること、一般的には人口が減少すればGDPは減少すること、高齢化社会は社会保障コストがかかることなど」をきちんと理解することが前提です。
それがわかっているのに現実には、うまく対処できないでいるジレンマとフラストレーションを感じる時代のように思えてなりません。
どこかに、落とし穴があるように感じてしまいます。

 

 

 

 

1990年の以来多くの方の開業にかかわってきましたが、今は経済、社会状況、時代感覚などを読み取る必要のある難しい時代だと感じます。
私がこの仕事を始めた時は、「脱サラでうまくいくのは10%」といわれました。
10年前であれば「カフェで3年生き延びるのは3/10」といわれました。
現在は、人口減と超高齢化社会に向いますので、さらに厳しい競争下にあるといえるでしょう。
テニスプレーヤーにとっても優れたコーヒーが必要であるように、開業にもまずは「よいコーチを見つけること」が最も重要だと思います。

 
こんな文章を書いているのは、今日「飲食開業に関する創業者」の取材が入っていて、過去を振り返ったからです。
私の創業時は、元気なバブル期で1階の物件はなく、あってもあまりに家賃、保証金が高い時代でした。それで2階で始めた訳です。
当時は、喫茶店は衰退産業で年間3000店以上のペースで倒産していました。
景気は良いのに、喫茶業は厳しいことがわかっていながら開業しましたので、何らかの準備はしました。そのあたりは取材後の本を見てください。

 

 

 

また、6月にカフェショーがあり、開業セミナーを行いますので、新たな事業展開、業態変更などをお考えの会社や個人の方は足をお運びください。
始めるのは簡単ですが存続していくためには、「飲食業の本質は何か?」をきちんと理解する必要があります。