パパ日記

衣と食

ローマ大会、錦織君は後一歩で残念でした。
優勝すれば、世田谷の環八沿いのユニクロの大きな店舗で記念に購入しようと思っていたのですが、またお預けです。
スポーツ系の「ドライEXポロシャツ」などは、綿などに比べ汗の乾きが速いポリエステル素材で最近のスポーツウエアの主流となっています。
この素材のウエアーは非常に軽く、デザインさえよければ、どのメーカーであろうと購入してもよいと思えるものです。

 

しかし、ユニクロの全仏モデルのテニスウエアはマークが大きく、目立ちすぎて気が引けます。試合中でもマークが大きすぎ、多少嫌味となり、根本的にブランディングをした方が良いと思うのですが……。
このマークががある方が良いという人もいるかもしれませんが、ユニバレ(ばれる)からユニコジ(誇示する)に至るには、ブランド力はやや弱いと感じます。
ですからセンスの良いラコステとか選択肢の多いアディダスを購入します。
但し、ポロの価格は安いですので、シンプルなデザインで機能性もよければ選択肢には入ると思います。

 
そんな風に考えて店に行ったところ、一部にシンプルなデザインで、機能性の良いものも見出すことができます。
しかし、それらの商品をよく見ると、背中の左下あたりに小さな□のマークが2ついています。
これは新しいマーク?
これは意外に目立ちます。
何故このようなマークを付けたのでしょうか?
同じようなレベルの商品で、このマークがついていないものは価格が高いという印象を受けました。

食の世界でも、マスの商品はメーカーよりもコンビニやスーパーなどの販売店の力が強くなりすぎ、価格の安いものもしくは売れるもの優先が多くなりつつあります。

全ての商品には、品質差があり、それらがマーケットの中ですみ分けることが理想ですが、バブル崩壊以降の低成長下で育ってきた世代を中心に、衣と同様に食の領域でも楽しむ余裕がなくなりつつあるようにも感じます。俺のフレンチとかイタリアンが混雑し、PB商品が増加し、選択肢が狭まられてきていると感じます。

食品の官能評価の観点からも、多くの消費者の嗜好の変化は、安い商品の味に抵抗感がなくなりつつあり、高品質の商品の存在が危い時代に入っていると感じます。
それらは、エンゲル係数の増加という経済的な側面からも裏付けられます。
醤油が使用されなくなったり、牛乳が飲まれなくなったりしていますが………
さらに問題なことは、よいものと普通のものの区別がつかなくなりつつあるのではないかという危機感を多くの食品会社の開発室の方々が感じていることです。

 

食育が叫ばれ、様々な場面で実施されているのはそのような背景もあります。
大學の栄養・食品関連学部、食に携わる関係者が小学校に出向くケースは増加しています。

 

 
子供の時に薄い味の代表である「おだしや米やみその味」をきちんと体験しておかないと、日本人としての基本味覚が形成されず、薄い味や繊細な味が理解できない大人が増えてしまう訳です。家庭で一家族そろって食事をしないこと、家庭の料理が受け継がれないことは当たり前のような時代になり、子供の味覚の崩壊は食品メーカーの死活問題ともなります。

 

 

このことがもたらす食の画一化は、大量生産と低価格をもたらし、品質や味という観点からの農業の持続性の危機をももたらすとも感じます。少し大げさなとらえ方かもしれませんが、大學や食品に携わる方々の危機感は大きく、コーヒー産業にも同じことがいえます。