パパ日記

アンズと滴定酸度

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群馬からアンズが届く。
強烈に酸っぱいですね。
もう少し熟させてからジャムにした方がよさそうです。

酸が強いというとケニア産ですね。そのため20年前はケニア産は好まれない傾向がありました。中米のコスタリカなども酸味があり輸入量は少ない産地でした。

そのため。酸味が弱めでかすかに甘味の残るジャマイカ産が好まれた時代が長く続いたわけです。

しかし、SPの時代になりケニア産の酸や果実感は新しい風味として認識されてきました。2005年くらいまでは、この酸味の良さを理解できないコーヒー関係者もも多く見られました。

ケニアの酸味は、クエン酸と酢酸が多くを占めます。クエン酸は果実の中ではレモンに最も多く含まれています。オレンジなどに比べればはるかに多いため、ケニアの酸味を強く感じた場合には「レモンのような酸味」といってよいでしょう。

それ以外に、その強い酸に対して、「アンズのような酸」「パッションフルーツのような酸」などと表現できるものもあります。アンズは熟し加減で酸味が異なりますが、基本的には強い酸として見ますが、さらに甘みを伴うような場合はアンズジャムというような表現でもよいでしょう。


酸に特長があるケニア産ですが、最近はそこまで強い酸の豆は少なくない傾向があるように感じます。2013~2016クロップ頃が、酸味が強く豊富だったと思います。しかい、いまでも、ケニアは果実の風味の宝庫です。

ケニアのpH(ミディアムロースト)は、4.75くらいから4.90くらいです。滴定酸度(Titratable acidity)は、7~8.00ml/100g を超えるものもあり、他の産地に比べると総酸量も多い方だと思います。

スマトラのマンデリンの在来種にもpHが低く、総酸量の多い豆が見られます。
但し総酸量が多いからよいというわけではなく、クエン酸>酢酸でなければなりません。酢酸>クエン酸の場合は有機酸の組成バランスとしてはよいとはいえません。

滴定酸度は、 コーヒー抽出液のpHを計測し、 pH7まで中和滴定するのに必要な水酸化ナトリウム(NaOH)の量から算出します。

はじめに、0.1モルの塩酸を作り、次に NaOHの1リットルの溶液を作ります。塩酸(HCL)10mlにフェノールフタレインを2~3滴(指示薬)いれ、NaOH溶液で滴定し、NaOHのファクターを求め準備完了で、実験に入ります。
塩酸や水酸化ナトリウム(強塩基・アルカリ)を扱うため、ドラフト(局所排気実験台)内で行うようにした方がよいでしょう。


内容的には、高校の理科や、大学生の実験レベルですが、理科や化学が大嫌いでしたから、 大学院時代は何が何だかさっぱりわからず、苦闘の連続でした。


準備ができれば、実験そのものは単純です。
一応コーヒー焙煎はミディアムで統一(L値22)します。
但し、粒度をどうするか?篩にかけるか?何gで何mlの熱水で、どのような抽出方法にするか?抽出時間や抽出量は? 抽出液の測定温度は?などを決めておく必要があります。この辺りはコーヒーの専門知識は問われます。



実験データから、pHと滴定酸度の間に相関性(類似性の度合い)を読み取れる場合もありますが、やや難しいと感じます。



また、味覚センサーの酸味の数値とpHの間にはR=0.98の高い相関性(統計学的指標)があります。

「きたあかり」も一緒に送られてきましたので、マッシュポテトを作り、雑炊2種と合わせ少し味に変化を付けました。だいぶ胃の調子もよくなってきました。