堀口珈琲で働くスタッフへ、
仕事内容のインタビューをしました。
今回は店舗事業部所属、世田谷店の店長を務める細山にインタビュー。喫茶カウンターでコーヒーをいれるその姿はとても美しく、ついつい目を奪われてしまいます。旗艦店でもある世田谷店の「店長」という仕事に対する考え方や、堀口珈琲の店舗の魅力を聞いてみました。
聞き手は、ブランディング部・広報の中川。部署を越えて、堀口珈琲で働くスタッフの魅力に迫ります。
2013年入社 店舗事業部 世田谷店店長
細山千恵子
専門的に食(コーヒー)の世界に携わるということは
こういうことなんだなって感じた瞬間でした。
――お客様からのファンも多い細山さんの登場です。今日はどうぞよろしくお願いします。リラックスしてくださいね。では早速、前職は何をしていましたか?
よろしくお願いします。学生時代は管楽器(サキソフォン)を専攻していて、音楽の勉強をしていました。大学卒業後は演奏を続けながら、輸入食品やコーヒー豆を販売するお店で働いていました。働く中でコーヒーに興味を持つようになり、趣味の範囲でコーヒーに関する資格を取得したり、外部のセミナーに参加するようになりました。次第にコーヒーを仕事にしたいという気持ちが芽生え、転職することにしました。
――――堀口珈琲との出会いはなんでしたか?
実はカフェの求人サイトなんです。お店に行ったことはなかったので、まずは行ってみよう、と家から一番近い上原店(※1)へ行きました。その時に対応してくれた店員の方が、心地よくて親近感のある接客をしてくれたんですよね。すごく楽しかったことを覚えています。購入したコーヒー豆を自宅でいれてみると、とてもおいしくて「このお店だったら働いてみたい」と思い応募しました。
――接客してくれた方って、印象に残ることありますよね。
では、働き始めてから感じたギャップなどはありますか?
面接が進み、狛江店で研修をさせてもらうことになってから、イメージしていたカフェとは良い意味で違うことに気付きました。当時の狛江店はコーヒー豆の製造を店内で行なっていて、朝から晩までスタッフたちがおいしいコーヒーづくりを熱心に取り組んでいて。“アットホームなカフェ”よりは少し緊張感のある、“職人の仕事場”という印象がありました。
――確かに。当時、焙煎機能が併設されていた狛江店は、アットホームな雰囲気もありながらも、製造現場には結構緊張感もありました。
はい。でもそれは雰囲気だけの話ではなくて、仕事に対しての突き詰め方も同じです。例えば、コーヒーの抽出練習をしている時にたくさんの先輩スタッフに試飲してもらうんですけど、全員が真剣に答えてくれることに驚きましたね。毎回、私の抽出したコーヒーの味を丁寧に解説してくれて。当時の自分にはどれも同じように感じる一杯のコーヒーを、スタッフ一人ひとりがさまざまな言葉を使って表現してくれた時に、味わいの捉え方・伝え方は人によってそれぞれ違うんだって知りました。
研修期間中は、“プロ”として本当においしいコーヒーをいれられるようになるために、みっちり指導してもらいました。商品としてお客様に提供できるまでのハードルはもちろん高いですし、一切妥協をしない部分にも驚きました。専門的に食(コーヒー)の世界に携わるということはこういうことなんだなって感じた瞬間でした。
――専門分野の世界を経験したわけですね。
その後、研修が終わり世田谷店へ配属となりました。狛江店との印象の違いはありましたか?
狛江店とはまたガラリと雰囲気が変わり、世田谷店はクラシックな喫茶店という印象がありました。創業の店舗ということもあって、当時から通ってくださる常連のお客様もたくさんいらっしゃって。老若男女、さまざまな人がおいしいコーヒーをゆったり楽しんでいる印象でした。先輩たちもみんな面倒見がよくて、すぐに店舗に馴染むことができました。
――今は世田谷店の顔のような存在になっていますもんね、細山さんは。お客様が細山さんとお話しして嬉しそうな姿をたくさん見かけます。
お客様が本当に優しいお店だと実感していますし、お客様に支えられているお店だと思います。例えば、少し元気ないなぁという時に、お客様から声をかけてくださったり。お客様に助けられた、といって卒業した先輩をたくさんみてきました。最近それがすごくわかります。
未経験なことに挑戦させてもらったのは
よい経験だったと思います。
――では続いて、仕事での印象的な出来事があれば教えてください。
入社してから数年後、「堀口珈琲のエスプレッソメニューとは何か?」と店舗全体で考える機会があり、そのリーダーを務めることになりました。自分なりにエスプレッソについて勉強し、マシンやメニューを検証し、外部セミナーにも参加させてもらいながら、最終的に上長たちに向けてプレゼンテーションを行い、考えを提案させていただきました。初めてのことに挑戦させてもらったのは自分にとってよい経験だったと思います。あとは、2018年に堀口珈琲のフランチャイズ店が中国の上海にオープンする際に、現地スタッフへの抽出指導で二ヶ月弱滞在させてもらったのも思い出深いです。特にエスプレッソマシンのセッティングをする際に、今までの経験が活きた実感がありました。抽出指導に「行きたい」と手を挙げて、チャンスをいただけたのも本当にありがたかったです。その時に中国のコーヒーショップや展示会にも訪問させてもらって、コーヒーに対する視野が広がったような気がします。
――さまざまな経験を経て、世田谷店の店長に就任。
1日の仕事の流れと、心がけていることがあれば教えてください。
堀口珈琲の店長は、基本的に店舗で働くスタッフと同じ業務をメインに行います。その日の客層や天気、その日にやらなければならない作業などから一日のプランを考えます。夕方以降は片付けを進めながらレジを締めて営業が終わります。接客業務やコーヒー抽出も行いますし、発注作業をしたり、隙間時間に事務仕事をしたり。店長だからこう、っていうことは実はあまりなくて、店長もスタッフと同じようにシフトに入りますね。店舗の空気感は常に店長が把握しておく必要がありますが、何よりもお客様とのコミュニケーションをとることが最も大切だと考えているからです。
――確かに。細山さんがコーヒーを抽出している姿をよく見かけます。
合間にも、お客様にお声がけしたりしてますよね。
そうですね。やっぱりお客様とお話しすると元気をもらえます。心がけていることは店舗業務と平行して店長業務を進めるので、視野を広く持つことですかね。例えば、何か問題が起きた時にそこから抜けられないとすぐに対応できなかったりするので、任せられることは人に任せます。そのためにも、いつもスタッフの配置決めやタイムスケジュールを頭の中で描きながら仕事をしています。あとはスピード感ですかね。店長である自分が決定しないと他の人の作業が遅れてしまうので、すぐにレスポンスすることを心がけています。
――なるほど。では、堀口珈琲の店舗事業部に求める人物像はどんな人ですか?
コミュニケーションがきちんと取れることは大事です。それは、ただ「話すのが好き」ということではなく、「堀口珈琲の魅力をお客様に伝える」こと。一方的に当社のことやコーヒーの魅力を語るのではなく、お客様に合わせたコーヒーの楽しみ方のご提案ができる方がいいですね。お客様に当社のコーヒーを楽しんでもらうきっかけを作ることができるのは、店舗事業部のスタッフならではの仕事だと思います。あとはやっぱりコーヒーが好きであること。コーヒーが好きだという情熱が、全ての仕事のモチベーションに繋がると思います。ある程度のコーヒー知識があれば、入社してから研修を通して専門的に学べる環境は整っています。
新しいことをやっていくことも大切なんですけれど、
守っていくこともたくさんあります。
――では、続いて、細山さんからみた堀口珈琲の魅力、世田谷店の魅力は?
堀口珈琲の魅力は、やっぱり「おいしさ」でしょうか。味づくりに妥協しないところが魅力だと思います。あとスタッフが真面目ですよね。自分たちで言うことじゃないかもしれないですけど(笑)。
世田谷店の魅力は、「幅広い年代の方がさまざまなかたちでコーヒーを楽しめる温かい雰囲気」です。創業時から大切にしている、コーヒーとの相性を考えて作られたケーキやパフェ、サンドイッチを提供しているのも世田谷店ならではの魅力の一つです。
抽出している時にふと店内を見渡すと、近所にお住まいの方や初めて来店された方、一人でゆっくり寛ぐ若い方やご夫婦で毎週きてくださる方。本当にいつもさまざまなお客様が世田谷店でコーヒーを楽しんでくれています。創業時から30年近く通ってくださる方もいらっしゃいますし、中にはいつもスタッフに温かい声をかけてくださる方も。
そういう時に、改めて世田谷店はお客様に育てられてきた店なんだなぁと実感しますし、これは守っていかなければいけないと思っています。だから最近は、時代が変わっても「創業時から変わらずコーヒーを楽しめる空間」であり続けることを目指しています。もちろん新しいこともやっていくことも大切なんですけれど、守っていくこともたくさんあります。
――本当に世田谷店のお客様は、世代がさまざまですよね。いつ行っても、いろんな方がコーヒーやケーキを楽しんでいる落ち着く空間だと感じます。では、最後に。働いているなかで目標にしていることや、夢や願望などがありましたら教えてください。
店長だけどバリスタとしても頑張りたいです。でも、今はワインに夢中で(笑)。J.S.A.ワインエキスパートの資格を取ろうと奮闘中です。コーヒーが好きな人ってワインや他の飲料に興味がある方が多いと思うのですが、私も別の世界を知ることでコーヒーを多角的にとらえられればいいなと思っています。
――違う側面からコーヒーを知る努力をしているのですね。素晴らしい・・・!さまざまな経験を積んできて、尚もコーヒーのために自ら違う分野の勉強をするその姿勢は見習いたいです。
それでは今回はこんなところで。細山さん、ありがとうございました!
ありがとうございました。
※……上原店は豆販売のみの店舗です。