パパ日記

Best of panama コーヒー味覚センサーと官能評価の相関性

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25日、26日でテースティング会の中級編が終了しました。

パナマのオークションは終了し、Naturalの1位は異常な高値で落札されています。
オークションの参加者には、1位にこそ価値があると考える方が多いと思います。
但し、当然ながら、価格と風味(score)の間には相関関係は成立しません。
昨年のようにASD(anaerobic slow dry:嫌気性発酵)の豆がなく、ゲイシャ種の基本の風味を体験できました。

 

オークションのジャッジ(パネル)の平均スコアは下記の通りです。
Nの1位から18位までは、94.75~90.5点、9位は92.5。
Wの1位から18位までは、93.5~90.5点、9位は92点でした。
1位を除くと9位までは大きな差がなく、すべて素晴らしい風味で採点が難しかったことが想定されます。
今少しジューシーであれば、95点にしてようと思いますが、そこまでの風味はありませんでした。

1位から9位までのWとNを味覚センサーにかけました。
味覚センサーの結果とパナマのジャッジのSCA scoreとテースティング中級編参加者16名のscoreの
結果の相関性を見たものが別表になります。

表。味覚センサーと官能評価の相関性

 

 

パナマジャッジ
SCA方式
中級16名
10点法
パナマジャッジ
と16名の相関
Washed

 

0.5722

 

0.3937

 

0.6268
 

Natueal

0.4612 0.5465 なし

相関係数は、0.4以上であれば、やや相関性があるといういい方も可能ですが、
学術的には最低r=0.6以上でないと、相関性があると主張するのは難しいと思います。

ジャッジ(パネル)
購入者の多くが中国、台湾など新興勢力の方々が大部分で、それに伴いパネルの経験年数やスキルの程度がわかりません。
ヘッドジャッジが適切な運営をしていると思いますが、
最近のオークションスコアについては自らテースティングしたスコアと照らし合わせることは重要に思います。

官能評価表
SCAの官能評価表はWashed を基準に作られています。NaturalのSPについてはこの官能表で応用していますが、
Naturalの評価基準はありません。
中級編で使用する10点表の評価基準は、SCAを参考にしながらも、
一部理化学的な数値をベースにして作成した5項目10点法です。
Naturalについては、Sweetの項目をFermentationとしています。
したがって、表に見られるようにNaturalについては、SCAと10点法の相関性はみられませんでした。

Naturalの官能評価基準
Naturalの精製においては、収穫後のチェ―リーの乾燥方法により、酢酸菌、酵母などの影響を受け発酵していきます。
私は、この発酵をできるだけ少なくすることが適切な精製方法であり、過度の発酵は精製不良と考えています。
しかし、米国を中心に新興勢力は、この発酵に関して寛容というか、
むしろ微発酵から発酵の風味を評価する傾向にあります。
したがって、パナマのジャッジの評価と中級編16名の評価は異なってきますので、相関性が見られなかったともいえます。

 

 

 

味覚センサーと官能評価の相関性

味覚センサーは、強度を示しますが質的な側面は判定できませんので、センサーには限界があります。
今回の味覚センサーと官能評価の間には、やや相関性が見られます。
今少し高い相関性が見られるといいのですが、簡単に良いデータが出るとはいえませんので、
さらに検証していこうという意欲が増していきます。

 

 図・味覚センサーと中級編16名の官能評価scoreの相関図