パパ日記

賞味期限4 精白米とコーヒー1

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コーヒー生豆にニュークロップとパーストクロップがあるように、米にも新米と古米があります。
私は、米をあまり食べないのですが、米と生豆にはかなり共通項がありますので、コーヒー生豆を知るために米の論文をかなり読みました。

米は、生産地では籾か玄米で長期貯蔵し、消費地では玄米か精米で保蔵します。
東京では、11月から3月は外気が低く劣化しませんが、4月以降は気温の上昇があり劣化します。
常温貯蔵での品質保持は3か月が限界といわれますので4月以降は低温貯蔵が必要となります。
この点に関しては、さまざまな論文があり検証されています。
しかし、コーヒーの生豆についてはほとんど検証されていません。

米の成分は、澱粉70%、たんぱく質7%、わずかにビタミンB1などです。
また、脂質が、玄米に2~3%、精米に1%程度含まれますが、この少ない量でも食味に関係が深く、
また貯蔵性を知るための一つの指標になります。

賞味期限を考える前に、どのような観点から米の品質を見るのかを整理します。
1物理的な品質指標
水分(玄米で15%程度)、容積重(比重)、千粒重(約20g、重い方がデンプン量が多くふっくら炊ける)、整粒歩合(未熟粒などを除いた健全なもの)、被害粒歩合(虫、カビ、バクテリアなどの損傷、病害)、その他精米の白さなどによります。

2官能評価
日本穀物検定協会で、外①観=白さ、ツヤ、てり、1粒の形、②香り=鼻と口から抜ける香り
③味=数回噛んで5味の優劣、④粘り=強弱で強ければ+評価、⑤硬さ=適度なかみごたえ、
⑥総合評価=全体の印象
の6項目を規準米(複数産地のコシヒカリのブレンド)との相対評価で
特A、良好A、基準米と同等A、やや劣るB,劣るBの5段階で評価します。

3理化学的な数値による評価
①澱粉のアミロース=でんぷんの一成分で20~30%の構成比ですが、低いほど粘りがあり白米では17~19%がおいしいとされて、またでんぷんの劣化がゆるやかになります。
②たんぱく質=6.2~7.2%が一般的ですが、低いほどふっくら炊きあがりおいしいとされています。
③水分=14~15%が普通で15%に近いほどおいしいとされます。
④脂肪酸=パルチミン酸、オレイン酸、リノール酸などで不飽和脂肪酸が全体の80%を占めます。

 

コーヒー生豆の場合は、SCAのグレーディングがあり、
①物理的評価として欠点豆の数でSP基準に合致するか判断します。
②SCAのカッピングフォームによる官能評価があり、80点以上がSPとして評価されます。
COとは異なり、どんなよい面があるかを評価する+評価方式となります。

但し、③理化学的数値の評価はされていません。そこで、風味に影響を与える可能性の高い成分についてこれまで分析をしてきました。最終的には,官能評価を補完するための理化学的な評価基準を作ることになります。

米はでんぷんとタンパク質が主な成分ですので、コーヒーの複雑な成分に比べると単純ですが、日本の主食であり、長い間農業試験場などで多くの研究がされています。

 

そして、品質保持のための保存については、生豆といくつかの共通点があります。続く

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堀口俊英(ほりぐちとしひで)
2002 年堀口珈琲研究所設立
2019年東京農業大学・環境共生学博士課程卒業
著作:「The Study of Coffee」新星出版・2020年その他
論文:「有機酸と脂質の含有量および脂質の劣化はスペシャルティコーヒーの品質に影響を及ぼす」2018