冷たく澄んだ空気が一年の終わりを、そして新年の訪れが近いことを知らせてくれています。
今回のブレンドコンセプトは『紡ぐ』。 様々な物を縒り合わせ（よりあわせ）、一つの物を作り出す様子を表した言葉です。
最初に心を掴むのは、舌を包み込んでくれるような滑らかな触感。第一印象は、「柑橘果実の酸と甘みが基調となったマイルドなコーヒー」です。 ところがよく味わってみると、柔らかい飲み心地のところどころに赤果実や南国果実を想わせるフレーバーがアクセントとして織り込まれた、風味の階層感のあるブレンドであることにお気づきいただけるでしょう。
「次の一口では、どんな味わいが感じられるだろう？」と、ついつい風味の変化を期待してしまう、そんな楽しみのあるブレンドに仕上がっています。
毎年新年を迎えると、「今年はどんなことが起こるのだろう」と期待と不安が交差した気持ちの昂ぶり（たかぶり）を感じています。新たな経験を紡いでいき、そこで得た物をブレンド創りに還元する。そうすることで皆様においしいコーヒーをお届けできるよう2024年も過ごして行きたいと思います。

ニューイヤーブレンドは『マイルドさ』と『新しい風味へのチャレンジ』というコンセプトに沿って創作を行っています。
素材選定にあたり、まず『マイルドさ』を実現させる為、ホンジュラス「ロス・デルンボス ブルボン」とルワンダ「【マチアゾ】ルウェセロ」を選びました。
どちらのコーヒーもきれいな柑橘の酸が備わったマイルドな風味が根底に感じられます。そのうえで「ロス・デルンボス ブルボン」はシルキーで滑らかな触感と赤果実系の華やかさが、「【マチアゾ】ルウェセロ」は濃縮感のあるジューシーさが特徴として表れています。
そして『新しい風味へのチャレンジ』を担う素材としてグァテマラのウエウエテナンゴ県、サンタバルバラエリアから初登場の「マルコス・ロペス」を使用しました。
サンプルを初めてテイスティングした時に、柑橘果実だけではなく南国果実のような華やかさがあり、滑らかな触感も心地よく感じられました。ニューイヤーブレンドのコンセプトを実現させるために、ふさわしい素材だと思いました。 実機でローストを施し、試作を開始すると「マルコス・ロペス」は想定していた通りに華やかで、少ない割合でも快活な風味がはっきりと感じられました。
配合調整を繰り返し「ロス・デルンボス ブルボン」と「【マチアゾ】ルウェセロ」の織りなす柔らかくマイルドな風味を、きゅっと引き締め、紡ぎあげる役割を「マルコス・ロペス」に担ってもらうことにしました。
柑橘果実の酸と甘み、そして様々な果実を想起させる華やかな風味を紡ぐことで、『マイルドさ』と『新しい風味へのチャレンジ』が体現されたブレンドが出来上がりました。

１、グァテマラ「マルコス・ロペス」シティロースト

若い柑橘を思わせる酸と甘み。どこか南国果実を連想させる華やかさも備わっており、快活な味わいが特徴です。スムースな触感と果実のような華やかさが余韻まで心地よく感じられるコーヒーです。ニューイヤーブレンドのコンセプトである『新たな風味へのチャレンジ』を実現する上で重要な役割を担っています。

２、ホンジュラス「ロス・デルンボス ブルボン」シティロースト

温州みかんのような柔らかな酸と甘み。シルキーで舌を包み込んでくれるような心地良い触感が特徴です。華やかさも備わっており、高品質のカカオやどこか赤果実のようなニュアンスも感じられます。

３、ルワンダ「【マチアゾ】ルウェセロ」シティロースト

厚みのある口当たりと滑らかな触感。オレンジのような柑橘果実の風味が特徴です。冷めてくるとほのかにカカオっぽいニュアンスも感じられます。濃縮感があり、ジューシーな味わいが魅力のコーヒーです。

※ルワンダコーヒーのポテト臭について 素材として使用しているルワンダのコーヒーには、ごく稀に「ポテト臭」と呼ばれる香りを発する豆が混入していることがあります。これは産地由来の特徴であり、現在でも発生を完全に回避できているわけではありませんが、堀口珈琲で扱っているルワンダのコーヒーは産地からのさまざまな取り組みにより、可能な限りその発生を抑えております。 「ポテト臭」は、日本人の感覚だとゴボウのような香りです。健康への影響はありませんが、風味の観点からは本来回避すべき香りですので、発生した場合は極力お飲みにならないようお願いいたします。

賑やかなクリスマスシーズンとは一転して、静かな印象に。新年の凛とした空気感をイメージしました。

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