パパ日記

サードウエーブ-1 初めに

日本ではサードウエーブという言葉が曖昧に使用されるため、個人的見解となりますが交通整理をして起きます。

 

 

私が1990年にこの仕事を始める前には、日本では家庭用の挽き売り店はほとんどありませんでした。自店の喫茶用の豆をローストする自家焙煎店が片手間に販売していたくらいでした。
そのため私は、新しい家庭用のマーケットを意識し、コーヒー豆を販売する店としてビーンズショップという言葉を用いました

 

 

 

私が世田谷に店を開業する前は、パリやローマにはカフェの老舗は多くありましたが挽き売り店は極めて少なく、ニューヨーク及び西海岸の挽き売り店をリサーチしました。
サンフランシスコ、ロスなどの西海岸の店の多くは、こじんまりとした店が多く、それでも1日20k前後販売していました。(ポンドをKg換算、日本では100g.200g単位でしたが、米国では1ポンドが主流でした)
当時の私には20kという数字は考えられない量でしたので、米国人はコーヒーを飲むのだなーと、あまりの販売量に驚いたものです。
しかし今の世田谷店はそれ以上を販売していますので感慨深いものがあります。

 

 

 

1980年代以降のニューヨークの繁盛店は「ポート・リコ」で店頭30kその他メールオーダー、卸売りがあり相当量を販売していたと思います。但しNYはフレーバーコーヒーも多く閉口しましたが。
老舗の「マクナリティ」は業務用も含め月2000kは販売していたかもしれません。
その後1990年代はデューン&デリカなどが開店しプレミアムコーヒーを対面販売していきます。
2000年代の終盤からはサードウエーブのムーブメントが入り込んできます。
*現在 前述した西海岸、NYの店が残っているのかは調査していませんのでわかりません。

 

 

 

サンフランシスコは、ピーツコーヒー&ティの本拠地で、コーヒー文化が古くから根差した町です。
ピーツコーヒーは、日本では、2001年に中華料理店の聘珍樓と日本店舗展開の独占契約を締結し、2002年4月南青山に日本1号店がオープンし、その後数店舗開店します。
当時日本ではスターバックスが勢力を伸ばしていた時期でしたし、スターバックスより顧客層がアッパーなためピーツは苦戦し、撤退します。
当時のピーツの社長とも日本で会い、相談にものったのですが残念な結果です。
出店時期が早すぎ、数年遅れの2005年くらいであれば日本のスペシャルティコーヒームーブメントの中でうまくいったかもしれません。

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バークレーの住宅街にあるピーツコーヒー&ティ
バークレーのピーツコーヒーは老舗であり、当時の米国のコーヒーの品質を守っていました。
当時、コーヒーの鮮度があ落ちるため西海岸以外に出店しないというのもポリシーでした。。
スターバックスの創業者のジェリー・ボールドウインらは、ピーツのコーヒーのとりこになり、故郷のシアトル取りに戻り、1971年にあこがれていたピーツの理念を踏襲して「スターバックス・コーヒー・アンド・スパイス」を開きます。
ボールドウインは豆の販売にこだわった品質主義者で、途中入社のハワード・シュルツとは肌合いが合わなかったようです。紆余曲折があり1987年代にシュルツに会社を売り、あこがれのピーツを買収します。
シュルツは、飲食に関心があったビジネスマンで、コーヒーショップ及びテークアウトのシステムでスターバックスを拡大していきます。
詳細はスターバックスのHPもしくはハワード・シュルツの「スターバックス成功物語」などでどうぞ。

 

 

 

スターバックスが、1990年以降米国にエスプレッソというコーヒー文化を広めました。生産地に赴き産地を開拓して行く先鞭をつけたと思います。今から10年前の2004年に私が中米を訪問した時には優良産地であるグァテマラのアンティグアやコスタリカのタラスの優れた豆を、スターバックスがおさえていましたので、その存在力を思い知らされました。
その後は世界的な店舗展開により余りに多くの豆を消費する為、優良産地におけるその影は薄くなったように感じています。
堀口珈琲の使用している「サンタカタリーナ農園」「ブラックバーン農園」などの豆は10年以上前はスターバックスが購入していました。

 

 

その後2000年前後にシカゴのインテリジェンシア、ポートランドのスタンプタウン、ダーラムのカウンターカルチャーなど新しい勢力が台頭します。
彼らは酸と甘みのコーヒーや有機コーヒーを提唱し、ダークローストのスターバックスとの明確な差別化をはかります。またショップの展開よりもトレーニングルームを開設し、業務用のコーヒーに販路を拡大します。カウンターカルチャーはショップはなく、トレーニングセンターが全米に4か所(2012現在)あるのみです。彼らは基本的には、マイクロロースターではなく業務用コーヒーロースターです。

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インテリジェンシア本社と車両

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カウンターカルチャーの本社 とブランドデザイン

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スタンプタウンの本社前の車と創業時の焙煎機

 

 

その後2002年以降に伝統的コーヒー文化のあるサンフランシスコに、ブルーボトル、サイトグラス、フォーバレル、リチュアルコーヒーなどのマイクロロースターが開店し、シングルオリジンコーヒーなどを提供し、新しいコーヒー文化を生み出していきます。
これらは2000年代の初めから多く誕生した日本のビーンズショップと同じような動きともいえます。

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ブルーボトルと新店舗建築中のサイトグラス

 

 

今後、「サードウエーブという言葉について」、「サードウエーブをとらえる視点」、「サードウエーブ御三家とマイクロロースター」、「米国のサードウエーブの特徴」、「米国のリテールマーケットの革命」、「日本のサードウエーブ」などについてわかる範囲で解説します。