パパ日記

ナチュラル-その2

エチオピアのナチュラルは、様々な産地のものがあります。
日本では、ハラ―、ジマG-5、シダモG-5などが流通しています。

エチオピアの等級は、G-1が生豆の欠点が少なくG-5は多くなります。
ナチュラルはどうしても欠点豆の混入が多く、G-4,G-5となります。
ウオッシュトは、チェリーを選別しますので、欠点の混入は減りますが価格も高くなります。もともとエチオピアはナチュラルの生産地で、10数年前からステーション(水洗加工場)ができ始めシダモのG-2やイルガチェフェのG-2が流通し始めました。
イルガチェフェのG-1は、ここ最近ですね。

 さて、このナチュラルですが、日本ではモカブレンド(後日解説)のために多く使用されています。価格が安く、香味に特徴があり、日本人の好きな香味ともいえます。

しかし、よく考えてみると、この香味は欠点豆の香味の混入したもので、本来いいものではありません。
その香味は、エチオピアそのものの独特な香味に、やや醗酵の風味が加わったものといえます。日本のコーヒー業界では、この香味をモカ独特の香味として販売してきました。

日本人の多くも、醗酵食文化の中で育っていますから、抵抗感のない方も多く、またこの香味に親しんできた方が多くいます。(さすがに堀口珈琲ではこれらの豆を使用する気にはならず、より特徴的で価格の高いイエメンを使用しました。イエメンにも同じ問題があったのですが、モカの本質的香味はこちらだと考えていたからです。後日解説)

 
ではなぜ、このエチオピアのナチュラルのG-1がないのかということになりますね。

エチオピア国内のコーヒー関係者にその意味を理解できる人がいなかったこと、工程が面倒であること、さらにはそれを作っても価格が高くなり消費国に購入ニーズがなかったことなどがあげられます。

スペシャルティコーヒーが認知された今でも、ナチュラルのG-1のニーズは世界中にほぼありません。まだそのような香味を理解できるコーヒー関係者が少ないということでしょう。米国の先進的な会社は、中米のナチュラルに関心があるようです。

しかし、この状況に不満を持ち、
G-1のナチュラルを作りたいと考えていたエチオピアのエクスポーターが一人いました。彼と私が遭遇したことによりあの幻の「ミスティバレー」が生まれました。イルガチェフェ村のイディドのステーションで作り、23年販売したと思いますが、最高峰のナチュラルG-1だと思います。

残念ながら、今はエチオピアのオークション方式が変わり、いいものを作っても混ぜられたりして、単純には輸入ができない状態となっています。

 多くのお客様から、あの「ミスティバレーは?」という問い合わせを今でも受け続けています。欠点豆のないエチオピアナチュラルの独特のフレーバーは人をひきつけてやみません。ベリーやチェリーなどの果実の風味の中にかすかに隠れたスパイスやチョコレートなどの複雑で忘れがたい香味で、驚くほど雄弁に語りかけてくるコーヒーでした。

この幻の香味を再現すべく、何年もエチオピアサイドと話してきましたがなかなかうまくいかずにいましたが、今年何とかナチュラルのG-1を獲得できそうです。
残念ながらイディドのナチュラルまでの香味が期待できるかわかりませんが、販売したく考えていますので、今少しお待ちください。


もちろん、エチオピアのウオッシュトのイルガチェフェは、堀口珈琲が15年以上追いかけてきたコーヒーですので、近々には販売しますのでご期待ください。

過去、堀口珈琲で販売したなかで最高のイルガチェフェとは言いませんが、イルガチェフェフレーバーは十分に体験できます(フローラルで香り高い。ブルーベリー、ピーチ、メロンなどの果実、紅茶、ワインなどの香味が潜在している可能性がある。他のコーヒーより甘い余韻が舌に長く残る。)
ナチュラルの風味とはまったく異なりますのでともにお試しください。