パパ日記

カリブ

ルイ王朝の頃、パリの植物園から困難な航海のすえ、マルティニーク島に植えられた苗木がティピカとしてカリブ海、中米、南米に広がりました。
とりわけカリブ海の島々で育てられたコーヒーは、この地域の独特の香味を形成しました。しかし、2030年前からハリケーンなどによる打撃など生産力が低下し、現在コーヒー産業は衰退しています。

わたしがこの仕事を始めた22年前はかろうじて、ジャマイカ、キューバ、ドミニカ、ハイチなどでティピカが生産され、わずかですが日本にも輸入されていました。
開店当初はよくキューバのティピカを使用しました。

優れたジャマイカは酸が少なくマイルドで甘い香りのコーヒーで、シルキーな触感です。しかし、70kの樽詰めで輸入される豆は、日本入着時にこのシルキーさを喪失させることが多く、ブルマンの本質的な香味さえ理解するコーヒー関係者は少なくなっています。

キューバは、柔らかな豆質で、やや青草の香りを伴うマイルドコーヒーです。
コロンビア北部のカリブ海に近い産地のティピカに似ているかもしれません。
全体的な香味の傾向は、海洋性気候の影響などで豆質は柔らかく、コクは弱めでミディアムが適正ローストとなります。
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ドミニカ           ジャマイカ

この産地の崩壊はティピカの栽培の崩壊をも意味しますので、コーヒー業界にとっていいことではありません。

現在キューバの生産は激減し、ドミニカ、ハイチの入荷もほとんどなく、ジャマイカのブルーマウンテンが日本で流通する程度です。かつては生産エリアとして1.中米、2.南米、3.東アフリカ、4.アジア、そして5.カリブ海というくくりで論じられたコーヒーですが、今ではカリブのコーヒーの香味を知るコーヒー関係者は極端に少なくなってしまいました。

スペシャルティコーヒーの流通の中で、ブルマンは価格が高すぎ、その品質が価格と見合わないため日本マーケットでの存在感を失いつつあります。この地のコーヒーの存在そのものが忘れ去られてしまうのではないかと危惧しています。

このような状況の中で、カリブ海の島のコーヒーの復活というか、産地を理解してもらうために4年前からドミニカの産地開発をしてきました。
ドミニカでは、バラオナ地域で細々とティピカが栽培されていますが、主要産地は中央高原に移行しています。
中央高原地域は、ハリケーン対策で、樹高が高く風雨に弱いティピカ種から矮小種のカツーラに植え替えられました。
しかし、サンプリングしてみると突出したコーヒーもあることがわかって来ました。
この地の生豆を購入することは、コーヒーの香味の多様性を理解するうえでも重要と考えたわけです。

これまで、ペペ農園を、091030袋(60k換算)、1011660袋、そして今年111290袋と毎年購入量を増やしてきました。
この農園の豆は、中米の華やかな果実の酸、東アフリカの複雑なコクなどをかねそなえています。

何故ペペ農園の豆がこれほど素晴らしいいのかはまだ謎です。
いずれ解明したいとは考えています。いずれ販売しますのでお楽しみにお待ちください。