パパ日記

昨日の続きの続き

ローストしてから4日目

すもも(プラム)のような明るい酸を感じます。
西洋プルーンのような紫系の果実ではなくやはり赤系の果実のニュアンスの甘い酸です。
優秀なカッパーであればナチュラルであるとわかりますが、どこの国のコーヒーかはわからないでしょう。

 

ナチュラル精製の多い生産国はエチオピア、イエメン、ブラジルなどです。

一般的には欠点豆の混入が多く、品質は良くないコマーシャルコーヒーです。
ルワンダやブルンジは、この精製からウオッシュトに変え品質は良くなりました。
しかし、ナチュラルにはウオッシュトにない濃縮感などがあり、きちんと作ればいいものができるはずです。但し、コーヒーの歴史の中では、ほとんどいいものはなく、
それでもあきらめず堀口珈琲は過去20年追いかけてききました。


エチオピアの場合はG-4、G-5(G-1が欠点豆が少ない)が大部分で、これがモカブレンドに使用されていますが、醗酵臭や欠点の香味が目立ちます。


これをG-1仕様にし、欠点をチェリーの段階からハンドピックして作ったのが幻のミスティバレーです。
現在販売中のエチオピアナチュラル「コンガ」もG-1です。
コンガは多くのお客様に高い評価を受けていますが、私としてはまだ未完成品と考えています。
このレベルでも世界にはほとんど流通していませんのでとても貴重です。
ここは堀口珈琲のこだわりです。

 

 

イエメンは気候が乾燥して、エチオピアのナチュラルとはまた異なった香味の世界を展開します。
一般的なモカマタリは欠点の混入が多く醗酵やイレギュラーな香味が顕在化しています。
そこで数年前からイエメンのトレサビリティを追いかけ、開発してきたコーヒーがバニマタリやイスマイリです。
これらの中にイエメンの本質的な香味は潜んでいます。
但し、生豆の鮮度管理が流通工程の中で難しくいまだ完成品とは言えませんが、
それでも堀口珈琲は世界に誇れるイエメンを提供しています。

明るい果実感、赤ワインやスパイス、チョコレートのような甘みなど複雑なイエメンの香味は他の世界中のコーヒーの香味とは根本的に異なります。
エチオピアと並ぶ古い生産地で、この地のコーヒーの香味はまだまだ探求に値します。

 

世界中に最も多く流通しているのはブラジルのナチュラルですが、ほとんどがコマーシャルコーヒーで増量用として使用されてきました。安いコーヒーの代名詞でした。
欠点の混入も目立ち、醗酵や渋みなどの香味が出ます。

欠点の少ないNo2でさえ品質はあまりいいとは言えません。

しかし、ブラジルの基準をより厳しく、欠点豆をできるだけ少なくし、きちんと乾燥されたブラジルには十分なコクと奥行きがあり、捨てがたいものがあります。
たまに遭遇してしまうとそれを追いかけるわけですが、2年目は同じようにならないところがブラジルの難しいところです。

堀口珈琲はこのブラジルの優れたナチュラルを20年間探し求めてきましたし、またマカウバ・デ・シーマ農園のグラウシオなどには、ブルボンを植えてもらいナチュラルを作ってもらってきました。
しかし、簡単ではないことはいやというほど思い知らされて来ています。

いいブラジルのナチュラルなど不可能ではないかとあきらめつつも、執念だけは継続し、パルプドナチュラルではない感動的なナチュラルを求めています。

最近実験的に取り組まれている中米のナチュラルは、いいものはプルーンなどの熟した果実や赤ワインのような香味が強く、またよくないものはケミカルなニュアンスの香味が強く出ます。
この中間の香味も多く、個人的にはこの両者の香味の強弱で良し悪しを判断します。

その意味で、コトワのナチュラルは、これまでのいいナチュラルの香味を超えたところにあると評価するわけです。

 

 

コーヒーの香味は数年で理解できものではなく、経験やテースティングのスキルが問われます。
スペシャルティコーヒーを扱う会社や店は、米国、北欧、オーストラリア、日本にも多くありますが、
情報過多で頭でっかちなだけで キャリアが伴っていないと感じることも多くあります。