パパ日記

ラズベリーとさくらんぼと官能評価

珍しいくらいきれいなラズベリーでしたので、宮崎マンゴーを買わずに購入しました。

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ベリーは、ストロベリー、ラズベリー、クランベリーの赤系、ブルーベリー、ブラックベリーの黒系等があり、コーヒーの官能評価でよく使用されます。
しかし、ブルーベリー以外は国産の流通がほとんどなく、ベリーの香味は日本人には不得手といえるでしょう。逆にコーヒーの基本の酸である柑橘の香味は得意分野となります。
 

とりわけラズベリーは、軽やかな酸と甘味がありますが一般的にはジャムやピューレ(ケーキ)などの味で認識されることが多くなりますが、レモンが入り、生のやさいい味とは異なります。
寒い産地で取れますので、ロシア、ポーランド産が有名ですが味が薄いので加工品に使うのでしょう。
ロシアでは紅茶にジャムを入れると聞き及んでいますが、ラズベリージャムをいれるのでしょう。
フランスやデンマークなどの市場でもよく見かけました。
やさしい味で美味しいフルーツです。

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デンマークのラズベリー.ブルーベリーとクランベリー

 

 

テースティングの観点からいえば、柑橘の果実の酸とベリーの酸とを区分し各産地の香味特性を把握していきます。例えばグァテマラであれば、柑橘の果実の酸の強弱や質で判断しますが、多くの場合ベリー系の香味は含まれません。
ここに赤い果実であるラズベリーやクランベリーのニュアンスが入ると、香味は複雑となり他との特性の違いが出ます。

 

 

 

また、ベイルガチェフェの香味は多様ですが、ベリーの味の部分だけを見れば、ウオッシュトはブルーベリーで、ナチュラルにはストロベリーのニュアンスが混ざることがあります。
しかし、日本のいちごとアメリカのいちごはまるで違いますので、先般WCRの発表した「LEXICON」の国際的なコンセンサス形成は非常に難しい面を抱えます。
例えば、フランスワインについては、フランス産ですので「猫のおしっこ」といわれれば、ソービニオンブラン等を飲んでそのような味が出た場合にそう覚えるしかありませんが、コーヒーは世界の農作物で、各生産国の人は様々な香味体験や味覚があり、どのように言葉で表現すればよいのかについては、時間をかけるべきと考えます。

 

 

チェリーなどは、ベリーより難しいでしょう。
日本のさくらんぼの素晴らしい味は、欧米人には未体験でしょうから、ベリー同様単純には行きません。
アメリカのチェリーは、大まかにはビング(BING/オレゴンなどでとれるダークチェリーで日本でも多く売られる)とRAINNIER(レイニア/赤黄色で日本のさくらんぼの色に近い高級品)でダークチェリーとは味が違います。百貨店のフルーツ売り場や有名フルーツ店でも見られますが、私は成城石井で購入します。

 

 

 

 

日本の佐藤錦は最高級のさくらんぼで、価格も高く贈答品としての需要もあります。
手でさわると早く痛むデリケートな果実で、ルビーのような赤です。
手作業で一粒つつ箱詰めする良品は価格が高くなってしまいますので私などはバラで十分です。
その選果基準は、「特秀品、秀品、優品、無等級」の4段階で、味(糖度、酸)、保存性(鮮度)、外観(形状、着色率)などで決まります。
日本的なクレージーな世界で、収穫は早朝の涼しい時間帯から行い、日本が世界に誇る果実ともいえるでしょう。露地栽培のものは期間限定(山形では20日間くらい)で少なく、さらに特秀品は全体の15%程度と言われます。(築地市場で聞きました)

 

 

最近は生産の安定性の確保、及び贈答需要などに対応する為、収穫前に受注をとることが多くなっています。早いものは収穫に向かいますが、6月収穫のものをすでに発注しました。

 

 

 

さてテースティング会でチェリーというときは、ブラックチェリー、日本の佐藤錦を区分し、さらにはコーヒーチェリー(良い状態、果肉の醗酵などのニュアンス)などを勘案して判断していきます。