パパ日記

二つのコーヒー協会

2014.10月の全日本コーヒー協会が日本全国3318人に行った「珈琲需要動向調査」では、コーヒーの平均週間飲用杯数は11.13杯で過去最高でした。

 

 

全日本コーヒー協会は、生豆の輸入、インスタントや缶コーヒー、及びレギュラーコーヒーを扱う協会から成り立ちます。その中のレギュラーコーヒーを扱う業界としては、農水省の認可法人として全日本コーヒー商工組合連合会があり、全国の支部から構成されます。主には中小焙煎会社からなります。
2003年にはスペシャルティコーヒー協会もでき、中小の焙煎会社より小さな自家焙煎店の加入比率が多くなっています。現在業界団体は2つになっています。

 

 

 

全日本コーヒー協会の調査に戻ると、日本では昔から「お茶しない」というと喫茶店を意味するくらいですし、お茶というくくりの中には緑茶、中国茶(ウーロン等)、紅茶などがあります。
最近はやかんの代わりにティファールなどの電気ポット、急須の代わりにハリオのティーポットなどの方が便利ともいえます。但し風情というか趣はなくなります。
私の家では、コーヒー、ダージリン、ウーロン茶、緑茶、加賀棒茶などをその時々で飲み分けています。
日本人は世界で最も多くの種類のお茶を飲む民族だと思います。
米国でもコーヒーと紅茶は同じくくりですの、ピーツやインテリジェンシアなども昔から紅茶を扱っています。
「~~coffee & tea」というネーミングも多く見られます。

 

 

飲料全体としてみれば、ジュース、ミネラルウォーター、スポーツドリンク、炭酸飲料、缶コーヒー、機能性飲料等その種類は多くありますので、全体的な嗜好率調査では、ペットボトルの緑茶・烏龍茶が上位で、コーヒーはその次に好きとの結果です。
但し、実際の飲用率ではコーヒーがトップで消費量の多さを裏付けています。
飲用年令では、40~59歳がトップで、次いで25~39際、60歳以上となっていますが、今後の高齢化に伴い60歳以上年齢層が増加していくと予測されます。
 

 

しかし、コーヒーといっても様々で、インスタント、レギュラーコーヒー(以下RC)、缶コーヒー、リキッドコーヒーなど様々です。
厳密なデータは把握しにくいですが、我々の扱うRCはコーヒー全体の35%前後となります。
これれまで説明してきたように、日本ではインスタント、缶コーヒーの消費は根強くあります。
コンビニコーヒーは、RC以外の65%のコーヒーの領域に切り込んでいるともいえます。

 

 

 

2000年以降の自家焙煎店の増加は、RCの購入場所にも大きな変化を持たらしています。
コーヒー豆、粉の量り売りに限っていえば圧倒的に自家焙煎を含む挽き売り専門店が43.3%と増加傾向にあり、伝統的な百貨店の挽き売り売り場も34.4%と根強く売れています。
しかし、袋や缶に入ったパッケージ商品は、スーパーが圧倒的に多くなります。

 

 
私がこの仕事を始めた時代は、コモディティとプレミアムの概念しかなく、商品のプライスリーダーは百貨店でした。ブルマン、キリマン、モカの時代でしたが、いまだにこのような表示の仕方は根強く残っています。
しかし、スペシャルティコーヒーの市場では、商品説明は具体的になり、それらを比較的多く扱う自家焙煎店での販売は増加しています。
但し、自家焙煎店のRC市場における占有率データはありません。

 

 

SCAJの「スペシャルティコーヒー市場調査2014」が2015年に発表されています。
この調査は消費者調査ではなく会員の焙煎会社、生豆輸入会社、喫茶店などからみた調査ですので、そのあたりを勘案した方が良いでしょう。
消費者のスペシャルティコーヒーという言葉の認知度は36%程度、内容の理解度では9%程度と低い結果が出ています。言葉と認識の間には大きな溝があり、スペシャルティコーヒーの難しいところでしょう。

 

 

このような中で、スペシャルティコーヒーを扱う多くの会社もスペシャルティという言葉を使用して商品を差別化しようとはしていません。
商品に自身のある会社は、きちんとした商品説明を通し従来のコーヒーとの違いを消費者に伝えることができます。
消費者は、スペシャルティだから飲むのではなく、おいしいから、店を信頼しているから購入するという当たり前のことをしているだけでしょう。(スペシャルティコーヒーといわれても、おいしくないものはゴロゴロしています。)

 

 

しかし、我々コーヒー従事者としては、生豆の輸入段階からローグレードやコマーシャルコーヒーとスペシャルティは明確に区分して扱っています。
おいしいには必ず理由がありますので、コーヒーの栽培から精製、輸送、保管、焙煎に至るまで様々な品質管理がなされ、その結果として香味のよいものが飲めるということをできるだけご理解いただけるようガイドをしています。