パパ日記

グロフィエとコトワ、もしくはワインとコーヒー

ブルゴーニュワインが高騰しているのは、それらのワインに対するニーズが高まっているからといえます。グロフィエが入荷し、その価格見て驚きました。

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反面、第3世界といわれるチリ、アルゼンチン、南ア、イスラエル、さらにはニュージー、オージー、米国などあまりにワインは多様化し、価格もピンキリとなっています。
米国のカルトワインは異常な高値ですし、その100分の1の価格でしかない1本1000円以下のワインもあります。

 

 

 

2000年と比べると日本のワインの輸入商は拡大し、ネットではフランスの発泡酒5本で5.400円、ワインショップでも110本10.800円などというディスカウント商品も多く見られます。
当方にもインポーターからのワインセミナー招待は多くありますが、それらは新興会社が多く、輸入会社の販促となります。
すでに評価の確立された伝統的なワインは、世界的な競争の中で入荷数が年々少なくなっているのが現状です。したがって、それらのワイン価格は高騰し、輸入会社は黙っていても売れる状況となり、むしろ受注を断るしかない状態になっています。
それらのワインを欲しいワイン愛好家、レストラン、酒屋は多く、購入枠を奪い合う世界となっています。

 

 

 

コーヒーも、オークションロットなどは一部そのような事例も見られますが、本当によいコーヒーを求める商社やロースターは産地に入り独自の購入ルートを構築する方向にあります。
現在は米国を中心に世界的にマイクロロースター(日本では自家焙煎店)が増加し、輸出会社や生産者も小ロット(60kg換算で10袋など)対応をするようになり、高値で販売できる生産サイドと独自商品を求めるマイクロロースターとの利害が合致している部分も見られます。

 

 
堀口珈琲でも多くの小ロットのコーヒーを購入しています。
しかし、現時点のSCAA評価基準で88点を超えるコーヒーは例外的であり、それらの中により特徴的なコーヒーがあったとしても、個性が強ければ強いほど毎年継続した香味の安定性は難しいともいえます。それらの香味を維持していくには、産地との強いパイプが問われるわけです。
その意味で、ペルー、コスタリカ、コロンビアなどのコーヒーなどで、高いう水準の香味を維持できていると思います。

 

 

 

小ロットで優れたコーヒーはその産地の香味をつかみやすく、その価値は大いにありますが、反面85点で250袋のコーヒーも極めて重要です。
これらは1コンテナのロットとなり、マイクロロースターには買うことのできない量となり、又価格的にも買える会社は世界的にも絞られます。
毎年、安定的に85点のコーヒーを1コンテナ以上作れる農園や輸出会社も多くはありませんし、それを維持するには生産サイドとの太いパイプが重要になります。
堀口珈琲では15年の購入履歴の中でそれらを確保してきた歴史を持ちますので、ここは新興の米国マイクロロースターとは、根本的に異なる部分だと思います。
 

 

 

さて話をワインに戻すと、私はもう15年間ブルゴーニュのグロフィエのワインを購入してきました。
某輸入商社にこのワインの購入枠をもっていますので可能となりますが、2014は価格があまりに高騰してしまいました。
一般のブルゴーニュルージュが、1本7.000円、特級畑のボンヌマールが50.000円(確か昨年は6.000円と42.000くらいでしたし、5年前は4.000円と30.000以下でした)となっています。
これは上代価格で、ネットなどでは20%程度安く売られる場合もありますが、数量も少なくすぐに完売するでしょう。
定食が10.000円のフレンチレストランでは、すでにルージュでさえ扱えない金額のワインとなり、ボルドーの1級シャトーのワイン同様に投機の対象となるようなワインに近づいてきている印象です。

 

 

 

そこで、今年は味見のためとして、ルージュを3本のみ購入し、初めてボンヌマールの購入を見送りました。すでにワインを楽しむという領域を超えたと感じています。
まあ、優れた生産者のワインを15年楽しんだのですから、「そろそろもういいかな」といった心境です。

 

 

但し、グロフィエの名誉のために付け加えるならば、これらのブルゴーニュワインは、米国の新興勢力の少量生産の希少性+評論家や雑誌の評価などの商業主義的価値から生み出された数万から数十万円のカルトワインとは違うはずです。
歴史の中で培われた高いレベルの飲み手により、優れたブルゴーニュワインに与えられる普遍的価値が高まったものだと考えます。
 

 

コーヒーは、どんなに高くともここまで高いものはありません。
嗜好品としては、又生産者の意識レベルや取り組み、畑のグレードなどでも特級畑のボンヌマールに匹敵するようなコーヒーが堀口珈琲にはあります。
まずは、コトワなどをお試しいただければと思います。

 

次回はコトワの味について。