パパ日記

テースティング7 語彙6 枯れた風味

https://reserva.be/coffeeseminar

かれた草(青い草の香りを伴わない)、藁、朽ちた木、ひねた風味は、SPでも鮮度の落ちた豆によく見られます。
鮮度は、生豆の状態での経時変化を意味し、保管、梱包材質などの影響を受けます。

これまでの実験では、真空パック(VP)、リーファーコンテナ(RC:15℃)で輸送し、定温倉庫(15℃)で保管したものが、麻袋による梱包、ドライコンテナでの輸送、常温で保管したものより良いことは以下の論文で明らかになっています。この論文では、触れていませんが、GPおよび生豆の賞味期限についてついの実験データもあります。

堀口俊英生豆の流通過程における梱包、輸送、方法の違いが品質変化に及ぼす影響日本食品保蔵科学会 
https://agriknowledge.affrc.go.jp/RN/2010928180.pdf

 

日本入港後の経時変化(主に脂質の劣化)による「枯れた味」はよく見られます。
これらは、枯れた草、藁、朽ちた木、ひねた味(劣化臭)などを含みます。

これは、油脂の変質指標である酸価(Acid value)を計測すれば判断できます。
油脂は保存中もしくは過熱により加水分解が進行し、遊離脂肪酸を生じ蓄積しますので、
油脂1g中に存在する遊離脂肪酸を中和するのに必要な水酸化カリウムのmg数を出し、酸価を算出します。

脂質の抽出などを分析機で算出しようとする試みはありますが、現時点では精度は落ちます。
脂質の抽出の理化学的な実験方法は各種ありますが、コーヒー生豆の場合はほぼ行われていませんので適切な方法は検証されていません.私はクロロホルム・メタノール法を選択しています。
コーヒー生豆の脂質抽出法というテーマで論文が書ける可能性があります。

酸価についての理化学的な分析は、火気厳禁のジエチルエーテルを使用しますので実験室での作業となります。
ジエチルエーテルに粉砕した生豆を浸し、脂質を抽出し、エバポレーター(減圧し蒸発:evaporate)させる装置)で溶液を蒸発させます。

これまでの実験から官能評価項目の「Clean」の基準の一つになる重要な指標としてとらえています。
結果として以下のことが明らかとなっています。
酸価が3まではクリーンな風味のコーヒー
4が濁り感や枯草や藁の風味との境界で
5以上は枯れた草の風味を感知することができます。
同時に総酸量、総脂質量は減少することになります。

 

貯蔵中の脂質の変化に関する研究は,ブラジルのラブラス大学のM,Y,RendonらのFree fatty acid(FFA;遊離脂肪酸)とTBARS(Thiobarbituric acid reactive substances :チオバルビツール酸反応性物質:過酸化脂質)の変化を示した研究があります。
ブラジル産Naturalの生豆を麻袋で22℃,相対湿度65%で保管した場合,FFAは3か月後の1.89から15か月後の3.67まで上昇したとしています。コスタリカで行われたASICで発表されています。

M,Y,Rendon,,T,J,G,Salva.,J,S.Ribeiro.,N,Bragagnolo. (2012).
Oxidation of Lipids and Proteins in green Arabica Coffee During the Storage Period

 

 

米の場合は、脂質量が1%程度ですが、脂質が劣化してこの数位が高いと古米臭を感じ取ることになります。
したがって、4℃での保管が最も長く鮮度維持できるなどという多くの様々な論文があります。

米の貯蔵環境と米品質に関する研究 /劉洪津 渡辺兼五/農業機械学会
精米の賞味期限の設定  横江末央 川村周三/農業機械学会
米の品質と乾燥及び貯蔵の原理   石橋貞人、田中俊一郎/農業機械学

 

コーヒーの場合は、重要視されてきませんでしたの、この分野の論文は極めて少ない状態というかほとんどありません。