パパ日記

賞味期限6 精白米とコーヒー 3

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精米の風味は、貯蔵中の呼吸作用に影響を受けます。
米は、貯蔵中も呼吸し、熱、炭酸ガス、水分を生成します。
水分量14.5%の米を10℃で保蔵した場合の炭酸ガス量は24時間に100gあたり0.1mgですが、
16%以上の場合は、微生物の影響で呼吸量が多くなります。

20℃以上の夏の高温多湿は、害虫(コクゾウムシ)、微生物、ネズミなどの被害を多くしますが、
水分14~14.5%、15℃以下ではほとんど抑制されます。

したがって、含水率と温度が低いほど許容貯蔵期間が長くなりますので、周囲空気の湿度管理は重要です。

生豆の場合であれば、湿度が増えると呼吸活動、酵素活動が増加します。
常温で保管した場合、水分値が12%以下であれば問題が生じる可能性は少ないといえますが、
14.5%を超えると呼吸数の増加で熱、CO2を放出し、15.5%を超えると害虫、
16.5%を超えるとmycotoxins(かび) を生成し化学組成が変化してしまいます。
また、生産地において、雨季で湿度の高い場合は13%%以上の水分値はカビの発生リスクが高まります。

米は、1合/150g、10合/一升、100合/1斗、400合/4斗(1俵60kg)で計算します。
保存用の包材は、玄米は30kgの紙袋です。
脂肪酸度が高くなる順は、紙袋>撥水紙などですが、包材よりも4℃の保存温度を重視しています。
生豆のように真空パックは見かけません。
米の小型保冷庫は、30kg×10袋~240袋までありますので、
自家焙煎店で生豆保蔵に利用できるかもしれません。

 

まとめ

基本的な精米の品質基準は、遊離脂肪酸の劣化を主要原因としています。
そのため生豆と同じように低温保存が必要です。
精米の賞味期限は、概ね温度25℃で2か月、20℃で3ヶ月、15℃で5ヶ月、5℃で7か月が適当
という報告もあります。
一般家庭では購入後長期の保存は少ないと思いますので、
精米年月日(もしくは年月旬(上旬/中旬/下旬)の古くないものを購入すればよいでしょう。

総合的に判断しますと、精白米は、14.5%の水分値で5℃保管がベストということになり、
12.5℃以下であれば保存性は高いと考えられています。
玄米、籾であればさらに保存性が増し、賞味期限が伸びると考えられます。

このあたりを勘案して賞味期限を考えればよいでしょう。

2017年に「玄米(精米)とコーヒー生豆の品質と貯蔵原理の比較」をテーマに考察しましたので
一部抜粋しました。
活動日記は、短時間で書いていますので、推敲はしていません。
文章にまとまりがないことはご容赦ください。

 

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堀口俊英(ほりぐちとしひで)
2002 年堀口珈琲研究所設立
2019年東京農業大学・環境共生学博士課程卒業
著作:「The Study of Coffee」新星出版・2020年その他
論文:「有機酸と脂質の含有量および脂質の劣化はスペシャルティコーヒーの品質に影響を及ぼす」2018