Released:2022.7.27 – 8.31
Categoly:SEASONALS “ SUMMER Ver.2 ”
Concept:Forest Flower
Artists:Haruka Shin
夏だからこそ飲みたい
爽やかで甘く生気がみなぎるブレンド
ブレンドコンセプト
蝉が一斉に鳴き立てて、ジリジリと暑苦しさが増す毎日。
暑さ続きとはいえ、木立に逃げれば爽やかな風に守られ、夕立すぎれば抜けるような空が現れます。夏だからこそ感じられる心地よさ、でしょうか。
今回のブレンドコンセプトは【Forest Flower】。
夏だからこそ飲みたい、爽やかで甘く生気がみなぎるブレンドができました。
鼻孔をとろかす華やかな香り。瑞々しく生き生きとした酸。ベルベットともラウンドとも感じるような、複雑な質感。マスカット、白桃、トロピカルフルーツ、様々な果実の風味を連想させる澄んだ甘露。喉を駆け抜け、飲み下した後に、ふんわりと立ち昇る雨上がりの森のような爽やかな涼感。
もちろんホットでもおいしいですが、急冷アイスコーヒーにすると華やかさが一層際立ちます。 「カランコロン」とグラスの中で氷が跳ねる音、液体を注いだ時に「ぴきぴき」と氷が鳴く音、そんな音も楽しみながらアイスコーヒーをいれてみる。
ほんの少し我慢して手間をかけて作ったアイスコーヒーは、一口飲むとすっきりした甘さが身体に染みわたり、いつの間にか蝉時雨は遠くに聞こえ、蒸し暑さも忘れてしまいそうです。
ブレンドができるまで
今年も素晴らしい品質で届いたLCFマンデリン。
「皆さん!LCFマンデリンのニュークロップが入港しましたよ!今年も一層すばらしいですよ!」とLCFマンデリンの大ファンとして本当は騒ぎ立てたいのですが、静かにサマーブレンドに投入することにしました。
一般的に力強く野性的な味わいをもつマンデリン。マンデリンといえば深煎りでしょう、という方もやはり少なくないと思います。しかし、入港した直後のこのLCFマンデリンは、浅めに焙煎するとマンゴーのようなとろみのある甘さと完熟した果物のまろやかな酸を感じさせます。余韻が長く、心が落ち着くような清涼感を残す、唯一無二な味わいです。
単体でも光る個性を放つコーヒーですが、ブレンドの中にうまく組み合わせると、アクセントの役割も担いながら、落ち着いたチェロのような音域で味わいに諧調を創り上げていく、ある意味ブレンダーの心強い味方です。
そんなLCFマンデリンの風味を頭の片隅に、サマーブレンドVer.2は「爽やかで華やかで清涼感溢れるブレンドにしよう」と狙いを定め、創作をはじめました。
【ウォルカ】クレイウォットの口当たりの軽やかさとフローラルな香りを主軸に、LCFマンデリンの南国果実やスパイスの甘みを思わせる独特な風味。エル・セロンのシルキーな質感と複雑な果実感を生かし、個性の強いクレイウォットとLCFマンデリンを上手く調和させています。
口に含むと、クレイウォット、エル・セロン、LCFマンデリン、そんな順番で個性的な素材の複雑な風味を感じさせながら、不思議とすべての味わいが溶けあっています。
飲んでいると、なんだか妙にたのしくなるブレンドです。
素材のご紹介
1、エチオピア「【ウォルカ】クレイウォット」ハイロースト
華やかな香りと瑞々しく爽やかなマスカットを思わせる風味。花の蜜のような品の良い甘さを感じさせます。素材の中で唯一、もっとも浅い焙煎に仕上げていますがしっかりとした滑らかさを持っています。入港してしばらく経ちましたが、この風味の安定性は「素晴らしい」の一言に尽きます。主軸にすることでブレンドの口当たりに“華やぎ”を与えています。
2、ホンジュラス「エル・セロン」シティロースト
柔らかな口当たりにシルクのような質感。スターフルーツのような明るく、華やかな酸。「ふくよか」という表現が一番しっくりきます。果実味に富んだ赤ワインのような複雑さも感じさせ、ふくよかさの中に様々な風味を内包したような、飲めば飲むほど面白い発見のある、わくわくする味わいです。主張せずとも奥深い、このブレンドに無くてはならないコーヒーです。
3、インドネシア「LCFマンデリン」シティロースト
きめ細かく絹のような質感。マンデリンの持つトロピカルフルーツのニュアンスは入港したてのこの時期ならでは。香り高く濃厚な甘みはやはりマンゴーのようです。風味の複雑さは勿論のこと、余韻の長さや清涼感はどこか雨上がりの森に一歩足を踏み入れたときのような、清々しく甘美な気持ちを思い起こします。
アートワーク
口に含んだ瞬間から甘く爽やかな香りが広がり、それはそれは魅惑的なブレンドだと感じました。LCFマンデリン特有の香りの強さと、生命が芽吹く場所である森というテーマから、躍動感ある筆跡が特徴のビジュアルを制作しました。
サマーブレンドVer.1のビジュアルコンセプトでお話ししたように、堀口珈琲のブレンドからは球体の印象を受けます。Ver.1は味の安定感から得られたイメージでしたが、今回は質感から球体のイメージを彷彿とさせました。球体の表面を撫でているような滑らかさを舌の上でも感じます。この心地よさを閉じ込めるように、メインビジュアルを円で切り抜き配置しています。
甘美な誘惑に惹かれ迷い込んだ先には、どんな花が咲いているのでしょうか。
思い切ってその森に飛び込んでみるのもよいでしょう。
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