Released:2022.11.14 – 12.25
Categoly:SEASONALS “ HAPPY HOLIDAY ”
Concept:Bon Hiver
Artists:Haruka Shin
冬をたのしく鮮やかに
お気に入りのスイーツと共に
ブレンドコンセプト
秋の名残をたのしむのも束の間。木の葉を吹き散らす冷たい風が吹くと、澄んだ空気を枯葉の香りが包み、冬の街はどこか香ばしさを伴います。
あたたかいコーヒーがいっそうおいしく感じられる季節がやってきました。 今回のブレンドコンセプトは、【Bon Hiver(ボン・イヴェール)】。 フランス語で「素晴らしい冬」といった意味があります。
あたたかいうちはヘーゼルナッツのような甘さとくちどけのよい滑らかな質感が感じられ、まるでジャンドゥーヤチョコレートのよう。少し温度が下がると徐々に果実感が前面に現れ、ベリー系や柑橘系の果物、ほのかにトロピカルフルーツのような南国果物のニュアンスが顔を出します。
更に冷めてくると華やかな洋酒のような複雑さと甘い香りがはっきりと感じられ、熟成されたラム酒を口に含んだときのような心地よさがあります。
気持ちを緩めてくれる陶酔的なハーモニー。さまざまなケーキやおやつにも幅広く相性が良さそうです。
コーヒーを片手に、少し静かで、うんとたのしい冬をお過ごしください。 皆様の冬のひとときに、良い時間が降り積もりますように。
ブレンドができるまで
今年の入港したイエメンは本当にどれも素晴らしいのですが「ガルビ ナチュラル」は特に個性が際立っていました。フレーバー、果実感の強度、ボディ感に関して他のイエメンとも一線を画す密度と複雑さがあり、まったく飲んだことのない香味に衝撃を受け、一度飲んだ瞬間から必ず何かしらの特別なブレンドで使用すると決意をしていました。
季節が巡っていく中で「温度帯での変化も存分に楽しめるコーヒーだから、寒くなってきた時期にゆっくり飲んで欲しいな。きっとブレンドの主軸につかえば栗のケーキやチョコレートケーキ、ドライフルーツを使ったパウンドケーキやブッシュ・ド・ノエルなんかにもすごく合うだろうな。」と想像が膨らみ、夏の前から「今年のハッピーホリデーブレンドはガルビ使いますから!」と言い続け、満を持して実現したブレンドです。
通常イエメンの生産者は、必要な時に現金収入が得られるよう、保管しておいたドライチェリーを都度仲介業者などに販売するそうです。そのため、一般的なイエメン産コーヒーは収穫年などがはっきりせず、品質が安定していません。しかし、私たちが扱うのは、生産者が収穫後、輸出業者によって速やかにかつ直接買い付けられており、イエメン産としては珍しく生産履歴が明確。また、均一でしっかり熟したチェリーのみから仕立てられているため、鮮度が高く風味の個性がはっきりとしています。
横浜ロースタリーに到着した粒ぞろいがよく綺麗な生豆は、焙煎する前から甘く複雑な香りを漂わせ、ブレンダー魂を刺激します。
イエメン「ガルビ ナチュラル」のフレーバーの複雑さと濃縮感を主軸に、エチオピア「【ウォルカ】ウレインチニーチャ」の華やかな果実感と粘性、コスタリカ「【ロス・クレストネス】エル・アルト」の滑らかな質感と品の良さを生かして個性の強い素材たちを調和させています。
派手過ぎず、滋味深く、複雑で、一口一口じっくり確かめたくなるような、時間をかけてゆっくり飲みたくなる味わいです。
それにしても、こんなにクリーンなイエメンが飲める日がくるなんて思わなかった、と常々思います。2022年はイエメンコーヒーの逞しさに心打たれる一年となりました。
素材のご紹介
1、イエメン「ガルビ ナチュラル」フルシティロースト
厚みのあるボディ感。口の中で溶けていくチョコレートのような滑らかな質感。 ほのかにストロベリーを思わせる風味、乾燥させた南国果実を連想させる華やかな甘みを感じさせ、複雑な果実感を楽しめます。飲み下したあとに立ち上る芳醇な香りは熟成された洋酒のよう。うっとりするような、濃厚な甘さ長く続く素晴らしいコーヒーです。
2、エチオピア「【ウォルカ】ウレインチニーチャ」フルシティロースト
クリーミーな質感が心地よく、華やかな風味が楽しめます。冷めてくるとほのかにベリー系の果物や白葡萄のようなニュアンスも感じさせ、どこか爽やかな印象をもつコーヒーです。ガルビのもつ果実感の複雑さを一層引き立てています。
3、コスタリカ「【ロス・クレストネス】エル・アルト」フルシティロースト
華やかな香りとヘーゼルナッツのような柔らかな甘み、ミルクチョコレートのような奥行のあるコクが特徴です。ほのかに柑橘果実の風味も感じさせ、深めに焙煎しても重たさを全く感じさせない品の良さを持っています。持ち前の滑らかさと品の良さで個性の強い2つのコーヒーを絶妙なバランスでまとめ上げてくれています。
アートワーク
ハッピーホリデーブレンドと過ごす、少し静かでたのしい時間を描きました。しんしんと雪が降る季節。白く染まる景色の中に浮かび上がるのはあたたかな光が漏れる窓。人々はテーブルを囲み、コーヒーを片手に思い思いの時間を過ごします。いつもはテーブルクロスなんて敷かないけれどこの日はちょっとこだわってみたり、お気に入りのカップを引っ張り出してきたり。日常の延長だけれど、少しだけ贅沢な時間。カップの絵柄は味わいのイメージから感じられる、重層的な果実の風味をひそかに忍ばせました。
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