たのしいコーヒー

SCAJ2023「スペシャルティコーヒーってなんだろう?」

SCAJ2023「スペシャルティコーヒーってなんだろう?」

9月27日(水)から9月29日(金)の3日間、東京ビッグサイトで開催された「SCAJ 2023」に出展しました。

私たち堀口珈琲はなんと10年ぶりの出展……!会場の雰囲気・熱気が少しでも伝わるよう、出展の様子をお届けいたします。
 

 

SCAJとは?


生豆の輸入業者をはじめ、各国のコーヒー生産者、全国のロースターやコーヒー関連業者が出展し、近年は日本中のコーヒーファンが押し寄せる非常に活気のあるアジア最大級のスペシャルティコーヒーイベントです。

 

<2023年 開催概要>
「SCAJワールド スペシャルティコーヒー カンファレンス アンド エキシビション 2023」
会場:東京ビッグサイト 西展示棟 3・4ホール+ 南展示棟 3ホール
会期:西3・4ホール:2023年9月27日(水)~ 29日(金)10:00~17:00 (最終日は16:00まで)
南3ホール :2023年9月28日(木)~ 30日(土)10:00~17:00 (最終日は16:00まで)

 

 

コンセプト


 

10年ぶりの出展ということで運営メンバーの気合いも十分。
何を掲げて出展するのか、来場くださった方にどのような体験をお届けできるか、およそ半年前から意見交換を重ねました。

そして、私たちが今回のコンセプトとして選んだのは次のテーマでした。

 

 

前回の出展から10年が経ち、その間に横浜ロースタリーの設立やブレンドのリニューアル、新店舗オープンなど数々の変化がありました。堀口珈琲のブレンドのおもしろさ、おいしさを改めて届けたいという真っ直ぐなアイデアや、横浜ロースタリーの取り組みをご紹介するべく会場にミニロースタリーを作ろう!など遊び心のあるアイデアも続々と登場しました。

この他にも今回の出展で取り上げたいテーマはたくさんありましたが、10年ぶりの出展ということもあり、まずは全ての原点でもあるスペシャルティコーヒーという言葉に深く向き合うことにしました。

 

「スペシャルティコーヒー」

コーヒー専門店を筆頭に近頃はコンビニやスーパーでも目にすることが多い言葉です。

 

誕生から約半世紀を経て多くの方に認知されるようになりましたが、その普遍的な定義や統一的な規格は未だ確立されていません。「スペシャルティコーヒー」という言葉は受け取る人によって様々な解釈がなされ、様々なスペシャルティーコーヒー像が語られています。

 

ふわっとして曖昧模糊なこの言葉を、業界の歴史やこれまでの経験を元に紐解いてきます。

私たち自身もこの問いかけと向き合いながらブースでの体験を設計していきました。

 

 

【ブース】スペシャルティコーヒーを紐解く3つの試飲体験


 

 

まずは体験の要、出展ブースです。

3つのテーマを順に巡り、 “スペシャルティコーヒーってなんだろう?”の問いかけをひとつずつ紐解いていくツアーのような試飲体験を用意しました。

 

<ブースデザインのコンセプト>
「スペシャルティコーヒー」を見つめ、もう一度ビルドする。様々な意味が紐づいたこの言葉を一度シンプルな状態に戻し、皆で考え、構築していこうという意図で写真や色彩を用いらず華美な装飾も行わない木を素材として選びました。また、展示会終了後の廃棄物を極力減らすような構造を心がけています。壁面の板には壁紙等を貼り付けておらず再利用が可能です。

 

 

それでは、3つの試飲体験をひとつずつ見ていきましょう。

 

1.スペシャルティコーヒーの“前提条件”とは?

 

最初は「クリーン」がテーマです。

生豆の生産過程やその後の加工工程には、コーヒーの特徴を覆い隠す“ネガティブな風味”が発生するリスクが多く待ち構えています。各工程において“ネガティブな風味を回避すること=クリーンさを担保すること”が個性を楽しむための前提条件であることを2種類のコーヒーを飲み比べながら体験いただきました。

 

思わず解説に力が入る生豆事業部の後藤。

 

 

2.スペシャルティコーヒーらしい“おいしさ”とは?

 

「クリーン」を体験した先には、多様な「個性」を備えたコーヒーがたくさん待っています。

コーヒーにおける「個性」とは、香り・味・質感の相互作用がもたらすポジティブな特徴の集まりです。2の試飲ブースではスペシャルティコーヒーの多様な風味の世界を体験いただきました。

 

店舗やオンラインストアでもファンが多いコーヒーたち。

 

案内していたのは当社のオンラインストアを運営しているEC事業部の島崎と小野寺。

 

 

3.スペシャルティコーヒーを突き詰めると……

 

「クリーン」であり、さらに「個性」を備えたコーヒー。

そのおいしさを突き詰めると“2つの到達点”に行き着きます。

産地の個性を超越した複雑さを備え始めた「最高峰のシングルオリジン」と、風味表現の幅を広げる「スペシャルティブレンド」です。

それらの象徴として、イエメン「ガルビ ナチュラル」と期間限定で販売していた「ロースターズブレンド」の2種類を体験いただきました。

 

最後のブースは生豆事業部と横浜ロースタリー在籍の製造部が担当。1日目は中島・小川ペア。

 

2日目は製造部の田中・山本ペア。「ブレンド、おいしい!」体験した方からの一言に嬉しくなります。

 

 

とても嬉しいことに、3日間通じて開場から閉場まで本当多くの方にお越しいただきました。

 

ブースの裏側を少しだけ。特販部・小野塚と営業部・岩倉がひたすら抽出、抽出、抽出しておりました。

 

 

【トークショーとワークショップ】スペシャルティコーヒーを深める、楽しむ


 

ブースでの試飲体験に加え、トークショーとワークショップを実施しました。

スペシャルティコーヒーをあらゆる角度から観察・体験する場として3日間異なるプログラムを行いました。

 

トークショー

「ワインから学ぶスペシャルティコーヒー」
マクシヴァン オーナーソムリエ
佐藤陽一氏

 

「スペシャルティコーヒーの現在地」
堀口珈琲研究所代表 兼 株式会社堀口珈琲代表取締役会長
堀口俊英

 

「スペシャルティコーヒーの到達点」
株式会社堀口珈琲 製造部
主任ブレンダー 秦はる香

 

 

ワークショップ

「生豆グレーディング」「ハンドソーティング」「ブレンドづくり」など堀口珈琲のコーヒーづくりを体験いただける3つのプログラムを実施しました。

 

生豆のグレーディング体験の様子。

 

 

【タブロイド紙】お伝えしたいこと、ここにまとめました


 

これまでご紹介したようにブースでは様々な体験をご用意していました。

「もう皆さんお腹いっぱいなはず。私たちも言い残したことはありません。」と言いたいところですが、ブースでお話しした内容、実はまだ全容の2割ほどしかお伝えできておりません……。(!)

 

そこで、“スペシャルティコーヒーについて、2023年現在の堀口珈琲が考えること”をまとめたタブロイド紙を制作することにしました。

 

制作を決めた後は、当社社長・若林を筆頭に執筆の嵐。編集担当も常に冷や汗をかくほど本当に直前まで構成・内容の見直しを重ねておりました。最後まで粘ったおかげか、とても充実したタブロイドに仕上がりました。すべて、今回のSCAJを機に書き下ろした内容です。

 

デザイン:岡本健デザイン事務所/印刷:日本新聞印刷株式会社

 

一見軽やかそうに見えてかなりの読み応え。
気がついたら、16ページになってしまいました。

会場でも「薄そうに見えて、実は16ページもあるんです……。」と照れながらご紹介すると「え?!」と目を丸くして驚き、手に取ってくださる方が多くお渡ししがいがありました。

 

こちらでは目次のみご紹介しますね。

 

・“なりたち”からペシャルティを探る

・“風味”からスペシャルティを捉える

・スペシャルティの前提条件“ネガティブの回避=クリーン”

・スペシャルティロースターの仕事

・スペシャルティらしさを突き詰めていく

・スペシャルティコーヒーの風味の仕組み

 

目次だけでもかなり“濃い”気配を感じとっていただけるはず。

この内容、会場配布だけで終わらせるのはもったいない……! ということで、堀口珈琲のオンラインストアや各店舗で販売することにしました。

また、現在オンラインストアではSCAJ 2023のブースで試飲提供したコーヒーの一部をご紹介している特集企画「シングルオリジンのその先へ ‐産地の個性を超越したコーヒー‐」を公開中です。SCAJ 2023に来場できなかった遠方の方も多くいらっしゃると思います。是非この機会にタブロイド紙と共に当店のコーヒーをお楽しみいただけますと幸いです。

 

 

SCAJ 2023への出展を終えて


 

まずは、ご来場くださった皆さまありがとうございました。そして来場していない方もこの記事を通じて会場の雰囲気が少しでも伝わっていれば幸いです。

 

今回掲げたコンセプト「スペシャルティコーヒーってなんだろう?」は決して今回の展示会限りのテーマではなく、あくまでも最初の一歩であったと考えております。これからもこのテーマに向き合いながら、皆さまにコーヒーを通じておいしさと喜びをお届けできるよう邁進していきます。