パパ日記

サードウエーブの呪縛

2002年にトリッシュさんがサードウエーブという言葉を初めて使用し、その後しばらくこの言葉は封印されたかのようでしたが、2005年以降のスペシャルティコーヒーの成熟と共に少しずつ使用され、2000年代の終盤以降メディアが好んで使用するようになりました。

 

 

 

彼女は、主には2000年の初期の生豆の品質に目を向けた動きや新しいスタイルのコーヒーショップなどの動きに何らかの連鎖を感じたのでしょう。
すでに日本でも2000年以降は、年間200店以上の自家焙煎店が開業していた時代ですので、彼女がその動きを目にしていたら日本の自家焙煎ムーブメントを衝撃をもって受け止めたと思います。

 

 

 

そして、サードウエーブは、「シングルオリジン、プアオーバー、最近ではコールドブリューなどその店舗スタイル」と共に新しい言葉を生みだし、日本に逆輸入されているように感じます。
もともと、ペーパードリップや水出しは日本に伝統的歴史がありましたが、それを米国のコーヒー関係者が新しいスタイルに消化して行ったのでしょう。

 

 
2010年以降は、世界中で多くのコーヒーショップが開業しています。
先人が幾多の苦労の末、開発してきた優れた品質の生豆を簡単に入手できる幸せな時代戸もいえます。
当たり前のように「コーヒーは果実」といい、コーヒーの香味の複雑性や多様性に対する認識が欠如しているのは、少ない経験値ではやむを得ないのかもしれません。

 

 

 

それらの情報は急速なスピードで世界中を駆け巡り、サードウエーブというとらえどころのない概念の中で、「浅い焙煎、果実感、テークアウト、コーヒースタンドの形」等コーヒー業界に新鮮な風を吹き込みました。

 

 

 

反面、情報が画一化し、スペシャルティコーヒーの歴史を経ていない若い創業者は世界中で同じようなコンセプトのもとで、同じような店を生みだし続けているように感じます。
スターバックスというスタイルと同じように、世界中で新しく生まれるコーヒーショップはどんどん無個性になっていくように感じます。

 

 

 

すでに米国では、サードウエーブの旗手であったスタンプタウンやインテリジェンシアは2015年にピーツコーヒーに買収され、そのピーツコーヒーは2012年に投資グループに買収されています。
さらにK-カップで有名なグリーンマウンテンコーヒーも投資グループに買収されています。
また、ブルーボトルも多額に資金を受けています。

 

 

 

 

これらは、スペシャルティコーヒーの成長が、ビジネスとして高い付加価値を生み出す産業であることを認知させ、コーヒー産業が投資対象となりつつあることを証明しています。
そのような流れを見れば、米国のスペシャルティコーヒー会社はファンドにより資本統一されるような方向にあるといえるかもしれません。

 

 
スペシャルティコーヒーは、生豆の品質に目を向け新しい市場を形成してきましたが、その創業の理念は維持されるのでしょうか?
これからのコーヒーショップは、2002年以降のサードウエーブという言葉やスタイルの呪縛から逃れ、新しいスタイルを生み出せるのでしょうか……..?

 

 

では、「どうすればよいのか?」については6/16のカフェショーのセミナーで少し触れたいとは思います。